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iPS細胞由来の心筋細胞シート、重症心筋症を対象とした医師主導治験で1例目の移植を実施

大阪大学医学系研究科・医学部は1月27日、iPS細胞から作製した心筋細胞シートを重症心筋症の患者さんへ移植する医師主導治験において、2020年1月に第1例目の移植を実施したと発表しました。

iPS細胞から作製した心筋細胞による心筋再生治療の開発は、同大大学院医学系研究科の澤 芳樹 教授(心臓血管外科)らの研究グループが日本医療研究開発機構(AMED)の支援のもと進めてきたものです。

これまでに研究グループは、虚血性心筋症で心機能が低下したブタにiPS細胞から作った心筋細胞をシート状に加工して移植する研究を実施し、心臓の機能を改善させることに成功。さらに、iPS細胞からヒトに移植可能な安全性の高い心筋細胞を大量に作製し、シート化することに成功していました。また、2019年には厚生労働省/医薬品医療機器総合機構に医師主導治験計画届書を提出し、試験の準備を進めていました。

今回の試験に使用した心筋細胞シートは、医療用iPS細胞を用いて開発されたもの。心筋細胞の分化誘導に用いる試薬や製造方法を改良し、ヒトに移植可能な安全性の高い心筋細胞を大量に作製、シート化することに成功したそうです。

今回の試験開始に際して、研究グループは以下の通りコメントしています。

本治療法は、有効な治療法の存在しない重症心不全に対する新しい治療となる可能性があり、深刻なドナー不足である我が国の移植医療において、一石を投じる治療法になるものと考えられます。

http://www.med.osaka-u.ac.jp/archives/20776

難病・希少疾患のなかには、心筋に異常をきたす病態の病もあります。この技術が今後、希少疾患領域へと応用されることが期待されます。

出典元
大阪大学大学院医学系研究科・医学部 NEWS&TOPICS

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