エクソソームの細胞内輸送機構を解明、パーキンソン病の治療薬開発への応用に期待
東北大学は6月1日、エクソソームの細胞内輸送を制御する分子として、Rab39A および Rab39B(Rab39A/B)を発見したと発表しました。
この研究成果は、同大大学院生命科学研究科の松井貴英助教、福田光則教授らの研究グループによるもの。国際科学誌「Cell Reports』電子版に6月1日付で掲載されています。
エクソソームには、さまざまな生理活性物質が含まれており、周囲の細胞や組織、器官の恒常性を調節しており、パーキンソン病などさまざまな疾患とも密接に関連しています。しかし、細胞内で形成されたエクソソームが細胞膜まで輸送される方法やその後どのように分泌に至るのか、その詳細な分子機構はこれまで不明でした。
今回、研究グループは、エクソソームの細胞内輸送を制御する分子として、Rab39AおよびRab39B(Rab39A/B)を発見。Rab39A/Bが正常に機能できない細胞では、エクソソームが核の周辺に蓄積し、分泌が阻害されたそうです。
また、Rab39Bは若年性パーキンソン病の原因遺伝子として知られていますが、その発症機序は解明されていませんでした。今回の研究では、パーキンソン病変異型Rab39Bを発現した細胞では、野生型細胞に比べ、エクソソーム分泌が減少することも併せて見出されました。
今回の成果について、研究グループはプレスリリーにて、「本研究で解明したエクソソームの輸送機構を、神経細胞を用いて今後解析することで、より詳細なRab39とエクソソーム分泌、及びパーキンソン病との関連性を明らかにできると考えられます。また、将来的には、この機構を制御する新たなパーキンソン病治療薬の開発へと発展することも期待されます」と述べています。