siRNA治療薬fitusiran、血友病Aと血友病Bを対象とする2つの第III相試験の肯定的データをASHで発表
サノフィ株式会社は2021年12月23日、インヒビター保有および非保有の血友病Aおよび血友病Bの成人・青年患者さんを対象にsiRNA(small interference RNA)治療薬として開発中のfitusiranについて、その有効性と安全性を評価する2件の第III相試験の肯定的なデータが、第63回米国血液学会(ASH)で発表されたと発表しました。この発表は、仏サノフィ社が2021年12月14日(現地時間)に発表したプレスリリースに基づくものです。
血友病Aと血友病Bはまれな先天性の血液凝固障害です。血友病Aでは第VIII因子の、血友病Bでは第IX因子の欠乏によってトロンビン産生が低下することで、効果的な血液凝固が行えません。開発中のfitusiranは皮下投与の新規siRNA薬であり、アンチトロンビンの濃度を下げることによって十分量のトロンビン産生を促し、血友病のタイプやインヒビターの有無に関係なく患者さんの止血系のバランスを調整することを目標としています。
今回発表されたのは、インヒビターを有さない血友病の患者さんを対象とするATLAS-A/B試験と第VIII因子または第IX因子に対するインヒビターを有する患者さんを対象としたATLAS-INH試験の結果です。これらの第III相試では、fitusiranを1ヵ月に1回 80mgを投与する群と、ATLAS-A/B試験では凝固因子製剤を出血時投与する群、ATLAS-INH試験ではバイパス製剤を出血時投与する群と比較したそうです。
両試験ともに、fitusiranの定期投与により、年間出血率が対照群に比べ89%以上低下。出血時療法に比べて統計的に有意で臨床的に意義のある改善がみられ、QOL(生活の質)も有意に改善することが判明したとしています。
両試験のfitusiran定期投与群で報告された有害事象は、同剤のリスクとして既に確認されている事象や、基礎疾患である重症の血友病Aまたは血友病Bに関連するリスクとおおむね一致する内容でした。
なお、fitusiranの第III相臨床試験プログラムは続行中。サノフィは、現在実施中の成人と青年を対象とする全ての試験で計画を変更し、従来、低い用量と投与間隔の幅を広げたレジメンを含めた上で、fitusiranの有効性と安全性の評価を進めているそうです。