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免疫の個人差をつかさどる遺伝子多型の「機能カタログ」を作成

東京大学は4月30日、免疫疾患患者さんと健常人の末梢血から分取した28種類の免疫細胞9,852サンプルを解析し、免疫細胞における遺伝子多型の機能についてのカタログを作成したと発表しました。

この研究は、同大の太田峰人特任助教、藤尾圭志教授、理化学研究所の山本一彦センター長、中外製薬株式会社の角田浩行創薬基盤研究部長ら研究グループによるもので、米国科学誌「Cell」のオンライン版に 4月30日付で掲載されました。

同グループによると、今回の研究で得たデータをこれまでのデータと組み合わせて解析することで、さまざまな免疫疾患と関連する細胞種や遺伝子を明らかにしたとのことです。

免疫が関連する疾患・形質の原因解明に

自己免疫疾患や自己炎症性疾患など免疫が病態に関与する疾患は多様にあり、その多くは発症の原因が不明で、難病に分類されています。これまでにもゲノムワイド関連解析(GWAS)によって、疾患の発症と関わる多くの遺伝子多型が同定されてきましたが、その多型がどのように疾患発症に関わるかを明らかにするためには、疾患と関わる細胞の遺伝子発現とゲノム配列を組み合わせた大規模なデータベースが必要だったそうです。

今回、研究グループは免疫疾患患者および健常人、計416例の末梢血から分取した28種類の免疫細胞9,852サンプルの解析を実施。過去の報告を大きく上回る規模の遺伝子発現データベースを構築しました。

さらに、ゲノム配列との関連を解析し、これらの免疫細胞における遺伝子多型の機能についてのカタログを作成。このデータをこれまでのGWASデータと組み合わせて解析することで、さまざまな免疫疾患と関連する細胞種や遺伝子を明らかにしたといいます。

今回作成したカタログは、免疫が関連する疾患・形質の原因解明に役立つものと期待されます。また、これまでのゲノム機能のデータベースは、欧米人主体に作成されており、アジア人とのゲノム構造の違いが課題となっていました。今回、日本発のカタログを作成したことで、アジア人を対象としたゲノム研究の発展や、欧米人のデータとの統合解析によるゲノム機能の詳細な解明に役立つことが期待されるそうです。

画像はリリースより

出典元
東京大学医学部附属病院 プレスリリース

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