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家族性筋萎縮性側索硬化症(ALS)の病態に重要なハブ遺伝子群をiPS細胞モデルを用いて発見

慶応義塾大学は4月28日、「iBRN法」というiPS細胞由来神経細胞とスーパーコンピュータを駆使したベイジアンネットワーク解析手法で、家族性筋萎縮性側索硬化症(ALS)を分子レベルで解析し、病態に重要なRNA発現のネットワークで中心的な役割を果たすハブ遺伝子群の発見に成功したと発表しました。

この研究は、武田薬品工業株式会社の野上真宏博士、慶應義塾大学医学部生理学教室の岡野栄之教授、新潟大学大学院医歯学総合研究科脳機能形態学分野の矢野真人准教授、東北大学大学院医学系研究科神経内科の青木正志教授らの共同研究チームによるもので、専門誌『Neurobiology of Disease』のオンライン版に4月20日付で掲載されました。

指定難病であるALSは筋萎縮と筋力低下を主症状とした神経変性疾患です。ALSの進行は極めて早く、有効な治療法が少ないのが現状です。

今回、研究グループは、健常者とFUS遺伝子に変異を持つ家族性ALS患者から得た60種類の細胞のトランスクリプトーム情報を基に、ベイジアンネットワーク解析を実施。その結果、病態に関与する3つのハブ遺伝子「PRKDC、miR-125b-5p、TIMELESS」を同定しました。

また、これらの遺伝子に関して、「PRKDCの活性はALSの原因遺伝子であるFUS蛋白質の異常局在に関わること」、「miR-125b-5p-TIMELESSの分子経路は、神経変性の分子病因であるDNA損傷を引き起こすこと」を、細胞モデルを用いて実証したとしています。

この研究で確立したiBRN法は、神経変性疾患に対する分子病因の探索に有効性を示すものであり、幅広い原因不明な疾患の分子病因の解明へ新しい研究戦略を示唆するものとして期待されます。

画像はリリースより

出典元
慶応義塾大学 プレスリリース

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