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脆弱X症候群発症の新しいメカニズムを解明

東北大学を中心とする研究グループは脆弱X症候群(指定難病 206)について、疾患モデルマウスの脳を用いて病態を引き起こす原因となる可能性のある分子を特定しました。こうした研究結果より、脳の発生期における遺伝性発達障害の更なる理解に繋がると期待されています。

脆弱X症候群(指定難病206)は大きな耳や大きな額、精神遅滞、自閉症様症状を特徴とする難病です。国の指定難病にも指定されており、日本国内では男性1万人あたり1人程度の発症頻度であると報告されています。X染色体上に存在し、FMRPタンパク質を作るために必要なFMR1遺伝子が欠損している病気であり、FMRPは成人の神経細胞が正常に働くために必要であることが知られています。一方、胎児期の脳におけるFMRPの役割はこれまで明らかにされていません。

研究グループが脆弱X症候群のマウス胎仔脳を用いてFMRPが制御している可能性のある分子を網羅的に解析したところ、知的障害や自閉症に関わる因子が多数特定され、さらにその中には細胞の分裂や増殖に関わる因子も多数発見されました。それらの因子は、細胞増殖の際に重要なタンパク質の合成を制御するmTOR経路を構成しています。実際に、Fmr1遺伝子を欠損した胎仔マウス脳ではmTOR経路が異常に活性化されていることを見出しました。今回明らかになった因子は胎仔脳の発達に関与していることが示唆されました。今後の更なる研究によって、脆弱X症候群に伴う遺伝性の精神症状や発達障害の理解が進むと期待されています。

出典元
東北大学 プレスリリース https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2020/12/press20201216-01-fxs.html

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