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造血不全、精神遅滞、低身長・小頭症を示す遺伝性骨髄不全症候群について新しい疾患概念「AMeD症候群」を提唱

名古屋大学を中心とする研究グループは、造血不全、精神遅滞、低身長・小頭症がみられる遺伝性の骨髄不全症候群について、アルデヒド代謝に関連する2つの遺伝子ALDH2とADH5に同時に変異が入ることが原因であると突き止めました。さらにこれを新たな疾患概念「AMeD (aplastic Anemia, Mental retardation, and Dwarfism) 症候群」として提唱しました。

遺伝性骨髄不全症候群(IBMFS)は、造血細胞の分化や増殖の過程に異常が生じる疾患で、正常な血液が生産できなくなります。これまでに、IBMFSとしてファンコニ貧血、先天性角化不全症、ダイアモンド・ブラックファン貧血などが発見されています。発症頻度は非常に低く、数万人から数十万人に1人の割合で発症します。一部の疾患では発症の原因となる異常が特定されていますが、その他の疾患については原因遺伝子の特定には至っていませんでした。

研究グループは、難治性疾患の実用化研究事業などで集められた、小児期に造血不全、知能低下、顕著な低身長・小頭症を示す日本人のIBMFS患者日本人10人の遺伝子を解析し、ADH5遺伝子に変異が生じていることを見出しました。また、ADH5遺伝子の単独欠損の他に同時2遺伝子変異が起こっている可能性を検討しました。その結果、ADH5の他に、アルコールを飲んだ後に顔が赤くなる現象の原因としても知られるALDH2遺伝子の2遺伝子に同時機能欠損が起こると造血不全、精神遅滞、低身長・小頭症を伴うIBMFSが引き起こされることを明らにし、新たな疾患概念として「AMeD (aplastic Anemia, Mental retardation, and Dwarfism) 症候群」を提唱しました。「AMeD症候群」の発症頻度は、日本国内で1年間に数名程度だと推測されています。一方で、症状の発現に関わる詳細な分子機構や発症機序は未だ不明な点も多く残っており、さらなる研究が待たれます。

出典元
名古屋大学 プレスリリース

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