ヒトが立位姿勢を安定化させるメカニズムを解明
大阪大学大学院基礎工学研究科の研究グループは、ヒトがどのように姿勢を制御し安定化させているのかを解析しました。健常者の立位姿勢はスイッチド・ハイブリッドシステムにより安定化されていることが明らかになり、パーキンソン病患者および高齢者では適切なスイッチの切り替えが行われないために姿勢が不安定であると示されました。
本研究チームは若年健常者、高齢健常者、パーキンソン病患者を含む数百人から計測した静止立位姿勢動揺データを解析し、それぞれの姿勢の制御を再現するモデルを同定しました。解析の結果、健常者の立位姿勢はスイッチド・ハイブリッドシステムと呼ばれる非線形制御により安定化されていることを示し、さらに高齢者やパーキンソン病患者の姿勢の不安定さは、適切なスイッチの切り替えが行われないために起こることを示しました。現在までに高齢者や神経筋疾患の患者の転倒リスクの適当な評価指標は開発されていません。本研究の成果より高齢者やパーキンソン病の転倒リスクを評価可能な新技術の開発にも繋がると期待されています。