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神経炎症を抑制する化合物を新たに発見

京都大学の研究グループはミクログリアの活性化により引き起こされる神経炎症を抑える化合物を発見したと発表しました。アルジャーノン2と名付けられたこの化合物は、パーキンソン病の疾患モデルマウスにおいてサイトカインの産生を抑制し、ドパミン神経細胞の移植時の脱落を緩和することが示されました。

中枢神経系を構成するニューロンは大きく分けて神経細胞とグリア細胞に分けられます。グリア細胞は通常、神経細胞に栄養を届け保護する働きを持ちます。グリア細胞の一種であるミクログリアは病原菌などの異物排除に関与しており、サイトカインの放出による免疫反応にも関わっていることが明らかになっています。ミクログリアが異常に活性化してしまうとサイトカイン放出も過剰になり、神経の炎症を引き起こします。こうした神経炎症はアルツハイマー病やパーキンソン病といった神経変性疾患の特徴としてみられます。これらの神経変性疾患の進行に対し、有効な治療法の開発が望まれています。

研究グループは神経変性疾患における神経炎症を抑制する化合物として、アルジャーノン2を見出しました。神経変性疾患であるパーキンソン病の疾患モデルマウスを用いてアルジャーノン2の薬効を評価したところ、アルジャーノン2投与によりミクログリアの活性が抑制され、ドパミン神経の脱落緩和が示されました。さらに、運動機能の改善も観察されました。次に研究グループは、iPS細胞から作成したドパミン神経前駆細胞を脳へ移植する際、アルジャーノン2投与によりドパミン神経前駆細胞の生着が促されることを示しました。本研究結果の応用により、パーキンソン病をはじめとする神経変性疾患における神経炎症の抑制のみならず、組織移植ごの生着の向上などに繋がると期待されています。

出典元
京都大学 研究成果

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