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iPS細胞を利用した網膜色素変性の治験開始へ

神戸市立神戸アイセンター病院は、2020年6月11日に厚生科学審議会再生医療等評価部会にて、「網膜色素変性に対する同種(ヒト)iPS 細胞由来網膜シート 移植に関する臨床研究」の実施計画について了承を受けたことを発表しました。

今回実施される臨床研究は、他人の細胞より作成されたiPS細胞より網膜シートを作成し、網膜色素変性の患者さんに移植する世界で初めての研究です。網膜シートの移植による組織の定着や視機能の回復度合いを確かめます。世界で初めての研究ということもあり、まずは患者さんの安全性の確認が主な目標に設定されています。臨床研究には2例の登録に限定されています。

iPS細胞とは「人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cells)」を省略して言ったものです。iPS細胞は全身をかたち作る様々な種類の細胞に分化することが可能であり、人工的に組織や臓器を作成できると期待されています。今回の臨床研究の他にも、iPS細胞を使った家族性アルツハイマー病や頭頸部がんなどの研究も進められています。

網膜色素変性とは、目の内側にあるカメラのフィルムのような役割を持つ「網膜」という部分に異常をきたす病気です。原因は遺伝子の異常ですが、異常となる遺伝子の種類が多く、それぞれの遺伝子に起こる異常によって引き起こされる症状も様々です。代表的な症状として、暗いところでものが見えにくくなること、明るいところでまぶしさを感じること、視野が狭くなること、視力が低下することなどの症状があります。4,000人から8,000人に1人が網膜色素変性を発症すると言われています。

出典元
神戸市立神戸アイセンター病院 お知らせ

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