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【米国】トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー成人患者さんに対する治療薬としてeplontersenが承認を取得

アストラゼネカ株式会社は1月17日、アストラゼネカとIonis社が開発したeplontersenが、トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー(hATTR-PNまたはATTRv-PN)の成人患者さんに対する治療薬として、米国で承認されたと発表しました。

トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーは、遺伝子変異により、全身のさまざまな臓器にアミロイドの蓄積が起こり、診断から5年以内に運動障害を伴う末梢神経損傷を引き起こす衰弱性の高い進行性かつ全身性の疾患です。適切な治療をおこなわないと徐々に症状が進行し、最終的に死に至る場合もあります。

eplontersenは、組織の正常な機能を阻害するトランスサイレチン(またはTTRタンパク質)の産生を抑制するよう設計されたリガンド結合アンチセンスオリゴヌクレオチド(LICA)薬です。米国において、成人におけるトランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーの治療薬で、オートインジェクターによる自己投与が可能な唯一の薬として承認されました。

今回の米国食品医薬品局(FDA)による承認は、トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーにおけるeplontersenの有効性と安全性を評価する国際共同非盲検試験、第Ⅲ相NEURO-TTRansform試験の35週時点での中間解析の良好な結果に基づいたものです。

本試験において、eplontersenの投与を受けた患者さんは、主要評価項目である血清トランスサイレチン(TTR)濃度と修正ニューロパチー障害スコア(modified Neuropathy Impairment Score)+7(mNIS+7)で測定された神経障害、および重要な副次評価項目である、Norfolk QOL質問票-糖尿病性神経障害(Norfolk QOL-DN)で評価された生活の質(QOL)において一貫した持続的なベネフィットを示しました。

Johns Hopkins大学医学部の神経学教授であり、NEURO-TTRansform試験の治験担当医師であるMichael J. Polydefkis氏は「ATTRv-PNは絶え間なく進行し、衰弱させる疾患であるため、患者さんの多くが生活を十分に楽しむことができません。今回のeplontersenに対する承認は、ATTRv-PNの治療における意義ある進歩であり、この疾患に罹患した患者さんにとって病勢管理の一助となるでしょう」と述べています。

アストラゼネカ社およびIonis社は、グローバル開発および販売契約の一環として、米国におけるトランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーの治療薬としてのeplontersenの共同販売を行うとともに、欧州およびその他の地域においても、規制当局への販売承認申請を計画中だそうです。また、eplontersenは、遺伝性および非遺伝性トランスサイレチン型アミロイドーシスの治療薬として、米国およびEUで希少疾病用医薬品指定を取得し、米国では2024年1月から使用できるそうです。

なお、同研究の成果は、「The Journal of the American Medical Association(JAMA)誌」に、発表されました。また、eplontersenは、現在、トランスサイレチン型心アミロイドーシスを適応とする第Ⅲ相CARDIO-TTRansform試験を実施中です。

出典
アストラゼネカ社 プレスリリース

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