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パーキンソン病患者由来のiPS細胞を用いた薬剤探索システムの確立

順天堂大学大学院医学研究科ゲノム・再生医療センターの赤松和土教授らをはじめとした共同研究グループは、家族性パーキンソン病の患者に由来するiPS細胞からドーパミン神経細胞を作成し、これを用いた自動病態検出システムを開発しました。このシステムを活用することで、一度に多くの薬剤から、有効な治療薬を探し出すことが可能になりました。

パーキンソン病に有効な薬剤探索システムの確立

パーキンソン病は、脳内のドーパミン神経の数が減ることで手足の震えや運動障害が起こったり、転びやすくなったりします。これまでに開発された主な治療法は、脳内で少なくなったドーパミンを補うことで対症療法が主です。研究チームは過去の研究より、パーキンソン病の1割を占める家族性パーキンソン病のうち特にPARK2とPARK6と呼ばれる2タイプでは損傷したミトコンドリアを取り除く働きが低下していることを明らかにしました。そこで、損傷したミトコンドリアを効率的に除去できる薬剤を見つけることを目的として、薬剤探索システムの確立とその自動化を目指しました。

システムの確立と有効性の高い化合物の同定

本研究ではまずPARK2患者2名とPARK6患者1名からそれぞれiPS細胞を利用し、96穴プレート上でドーパミン神経細胞を作成しました。それらの細胞に対し、各々の細胞における損傷したミトコンドリア除去機能や細胞死の数などを評価するため、イメージングサイトメーターと呼ばれる機会を用いて自動的に測定する方法を確立しました。確立した方法を用いて様々な化合物を評価したところ、有効性が期待される4つの化合物が同定されました。これらの4化合物は一部の孤発性(家族性でない)パーキンソン病のiPS細胞由来モデルや、パーキンソン病モデルショウジョウバエにおいても有効性が示唆されました。さらに多くの化合物を対象に薬剤探索を実施したところ、MRS1220、トラニルシプロミン、フルナリジンの3化合物がPARK2及びPARK6の病態を改善する候補として浮かび上がってきました。これらの化合物の投与方法を変えてみたり、似た構造を持つ薬物を探してみたりすることで新たな治療法開発に繋がると期待されています。

オーダーメイド治療の提供へ

本研究により、パーキンソン病の患者のiPS細胞を活用した効率的な薬剤探索システムが確立されました。また、開発された薬剤探索システムにより、同定された薬剤は家族性パーキンソン病のみならず一部の孤発性パーキンソン病患者にも有効である可能性が示唆されました。孤発性の症例と家族性の症例には共通の発症メカニズムがある可能性が見いだされました。今後は、様々な症例に対して有効と思われる薬剤を探索していくことで、それぞれの患者に適切な治療薬を提供できることが期待されます。

出典元
順天堂大学プレスリリース

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