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肝硬変や角化異常を呈する自己炎症性疾患の原因遺伝子を同定

順天堂大学をはじめとする研究グループは原因不明に肝硬変、掌蹠角化症、歯周炎など複数の症状を呈する疾患の原因遺伝子としてNLRP1遺伝子の点変異を同定しました。さらに、NLRP1遺伝子の変異はインフラマソームの活性化を介して自己炎症性症状を引き起こしていることが明らかになりました。

自己炎症性疾患は本来病原菌などの外敵から自身の身体を守る免疫系が異常に活性化されて起こる全身性の炎症性疾患です。近年の研究では自然免疫系においてインフラマソームの活性化が自己炎症性疾患を引き起こすことが明らかになってきました。NLRP1はインフラマソームを形作る部品の一種であり、NLRP1を含む複合体の形成によって細胞は炎症性サイトカインを放出したり細胞死を誘導したりします。本研究グループは過去の研究より、肝硬変や角化異常などを伴う原因不明の希少疾患患者においてNLRP1遺伝子に変異が起こっていることを明らかにしました。そこで本研究ではNLRP1遺伝子と炎症性症状との関連を詳細に検討しました。

本研究は幼少期より掌蹠角化症、歯周炎、SLE様兆候を伴う原因不明の肝硬変が認められる患者を対象に行われました。患者のNLRP1遺伝子解析により、NLRP1遺伝子上に点変異(NLRP1-P1214L)が見出され、ヒト培養細胞にNLRP1-P1214Lを導入すると大量のサイトカイン(IL-18)が放出されました。IL-18の放出にはインフラマソームが関与していることから、NLRP1の変異がインフラマソームを活性化することが示唆され、更なる自己炎症性疾患と原因不明の肝硬変を伴う難病の治療法開発にも繋がると期待されています。

出典元
順天堂NEWS プレスリリース

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