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多発性硬化症関連疾患の新たな自己抗体関連免疫病態の解明へ

東北大学大学院医学系研究科の研究グループは2020年5月19日、脱髄性疾患のうち、髄鞘に存在する特定のタンパク質に対する自己抗体が原因で血管周囲の神経繊維の脱髄が生じる一群の疾患が、急性散在性脳脊髄炎と似た特徴を持つこと発見したと報告しました。今回の研究は、多発性硬化症や視神経脊髄炎スペクトラムなどの脱髄性疾患とは異なる病態を示す疾患の存在を示唆しており、今後のそれぞれの疾患のさらなる治療法の開発への貢献が期待されています。

多発性硬化症は、神経細胞の周りを取り囲む髄鞘が壊れることで症状が起こるため、脱髄性疾患と呼ばれています。自己免疫疾患の1つとしても知られ、自分自身の免疫細胞が、自身の身体を攻撃してしまうために発症します。脱髄性疾患は、異なる自己抗体や免疫機能により引きおこると考えられており、様々な病態を示す疾患の集まりであると考えられています。実際に、近年は多発性硬化症と、類縁疾患である視神経脊髄炎スペクトラムが異なる疾患概念として独立しました。

今回の研究では、血液中のミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質に対する抗体(抗MOG抗体)が陽性な患者を解析し、血管の周囲に浸潤したマクロファージなどの炎症性細胞によって血管周囲の神経細胞で脱髄が起こっていることを示しました。さらに、MOG抗体に関連した疾患の特徴と考えられる、血管周囲での脱髄が進むと、それぞれの病変同士が融合してより広範な病変となることも明らかになり、多発性硬化症とは異なる機序で病変が広がっていく特徴があることもわかりました。

出典元
東北大学プレスリリース

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