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難治性てんかんの幼児…保育園入園率、母親就業率低く

複数の抗てんかん薬を使用しても発作を繰り返し、発達の遅れもあるドラベ症候群、ウエスト症候群の患者家族が対象。昨年5月、インターネットで364家族にアンケートを行い、206家族(57%)から回答を得た。 昨年4月の入園率は34%で、全国平均より8ポイント低かった。3 …

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RareS.コメント

難治性てんかんや発達の遅れが生じる、指定難病の「ドラベ症候群」と「ウエスト症候群」に関して、保育園の入園率や母親の就業率が全国平均よりも低いということが、患者家族会3団体の合同調査によりわかりました。

ドラベ症候群は、日本において約3000名いると言われる疾患で、高確率でSCN1A遺伝子の変異が見られる、てんかん性脳症の一つです。バルプロ酸やクロバザムといった通常のてんかん治療と同じ薬が使用され、効果が不十分な場合に2012年9月に承認されたディアコミットが併用されます。

ウエスト症候群は、「点頭てんかん」ともいわれており、突然頭部を一瞬垂らし、四肢を縮めるような発作(てんかん性スパズム)や、脳波検査においてヒプスアリスミアという特徴的なてんかん性異常波を示します。現在の治療法としては、抗てんかん薬治療や副腎皮質ホルモン治療のほか、ケトン食療法や外科治療が行われています。先日ご紹介させていただいたとおり、「PHACTR1」遺伝子が疾患責任遺伝子ではないかということが発表されました。

昨年4月時点での入園率は、難治性てんかんを持つ子供において34%で全国平均より8%低く、母親の就業率にいたっては、24%となっており、全国平均の半分に満たず、介護などにより働くことが難しい実態が示されました。

今回の調査は「てんかん研究」という雑誌に「乳児期発症難治性てんかんにおける保育所就園 及び保護者就業についての実態調査」というタイトルの論文として掲載されました。ドラベ症候群患者家族会、ウエスト症候群患者家族会、きよくん基金を募る会の3つの団体による研究でおこなわれました。このような患者会による実態調査は、患者や患者家族のリアルに迫る研究となり、国や研究者による今後の方向性に示唆を与えるものとなります。しかし、患者家族としては患者のお世話に忙しい中で、科学研究として信頼性や妥当性のある方法で行うことは大変な負担となることは間違いないでしょう。こうした患者会がおこなう調査を、科学的研究における批判的読解や検討に耐えうるものにするために、国を始めとした一定の権威のある機関による支援があると、ますます日本において患者会主体の研究が進むかも知れませんね。

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