1. HOME
  2. 難病・希少疾患ニュース
  3. 難治性乳幼児てんかんの責任遺伝子「PHACTR1」を特定-浜松医科大ら

難治性乳幼児てんかんの責任遺伝子「PHACTR1」を特定-浜松医科大ら

ウエスト症候群は、生後3~11か月時に発症する難治性乳幼児てんかんのひとつであり、日本国内では少なくとも約4,000人の患者がいると推測されている。難治性乳幼児てんかんは、遺伝的要因との関与が強く示唆されており、近年のゲノム解析技術の発展によって、次第に …

続きはこちら

RareS.コメント

既知の小児難治性てんかんの中で最多人数であり、指定難病になっている「ウエスト症候群」に関して、その責任遺伝子が発見されました。

ウエスト症候群は、「点頭てんかん」ともいわれており、突然頭部を一瞬垂らし、四肢を縮めるような発作(てんかん性スパズム)や、脳波検査においてヒプスアリスミアという特徴的なてんかん性異常波を示します。現在の治療法としては、抗てんかん薬治療や副腎皮質ホルモン治療のほか、ケトン食療法や外科治療が行われています。

今回、浜松医科大学が行った研究により、小児てんかん患者への全エクソーム解析(遺伝子のうち、タンパク質をコードしている遺伝子のみを網羅的に調べる検査)をおこなった結果、「PHACTR1」遺伝子が疾患責任遺伝子ではないかということがわかりました。PHACTR1遺伝子は、細胞骨格タンパク質であるアクチンと結合し、細胞の形や機能を調節する役割を持つと考えられており、マウスにおいてはこれに障害が起きることにより、神経細胞の形や移動、シナプス形成や機能に障害が起こり、てんかん発作や知的障害が起きるという可能性が示されました。今後、「アクチン細胞骨格の正常化」を標的とした新たなてんかん治療薬の開発が行われる可能性がうまれてきました。様々なてんかん治療薬があるものの、いまだに十分ではないという現状があることを踏まえると、注目していきたいですね。

関連記事