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特発性肺線維症の高精度な自動診断AIの開発に成功

名古屋大学は6月24日、日々の診療で収集した肺のCT画像と診療情報のみから高精度に特発性肺線維症を診断するAIアルゴリズムの開発に成功したと発表しました。

この研究は、同大医学部附属病院メディカルITセンターの古川大記特任助教(理化学研究所光量子工学研究センター画像情報処理チーム客員研究員)、白鳥義宗センター長、名古屋大学未来社会創造機構予防早期医療創成センターの大山慎太郎准教授、理化学研究所光量子工学研究センター画像情報処理チームの横田秀夫チームリーダー(理化学研究所情報統合本部先端データサイエンスプロジェクト副プロジェクトリーダー)、公立陶生病院の近藤康博医師らの共同研究グループによるもの。研究成果は、国際科学誌「Respirology」電子版に6月13日付で掲載されました。

間質性肺炎は、肺の間質を中心に炎症が起こり、呼吸不全に至る進行性肺疾患。なかでも最も予後不良な特発性肺線維症は国の指定難病に登録されています。近年、患者数は増加傾向にあり、国内では約94万人の患者さんがいると推計されます。

特発性肺線維症は、診断できる専門医が少なく、正確な診断ができないと治療方針も定まらないため、日本だけでなく世界的に重要課題となっています。特発性肺線維症は、診断されてから予後が3~5年と不良であるため、早期に診断し治療開始することが重要です。

今回の研究では、公立陶生病院で取得された診療データのみを人工知能(AI)で解析することで、特発性肺線維症を高精度に診断する技術を開発することに成功し。このAIは、診断過程を画像上で確認することができるため、特発性肺線維症の専門医とAIが協働で診断することが可能だといいます。

画像はリリースより

さらに、国際的にも著名な間質性肺炎の専門医が特発性肺線維症ではないと判断しても、AIが特発性肺線維症と判断した場合、死亡率が高くなることも明らかになったそうです。このことから、今回開発した診断AIは特発性肺線維症のスクリーニングツールとして有用であること、間質性肺炎の専門家と協働することでさらなる個別化医療につながる可能性があることが示唆されました。

研究グループはプレスリリースにて「本研究成果をもとに、全国の多くの病院が参加する世界最大規模の間質性肺炎レジストリ研究(PROMISE試験)を開始しており、全国どこの病院でも専門家と同等の診断が得られる仕組みを構築しています。引き続き、多くの患者さんの早期発見早期治療に貢献していきます」と述べています。

出典
名古屋大学 プレスリリース

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