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げんぱつせいていりんけっしょうせいくるびょう
原発性低リン血症性くる病Primary hypophosphataemic rickets

小児慢性疾患分類

疾患群5
内分泌疾患
大分類37
原発性低リン血症性くる病
細分類82
原発性低リン血症性くる病

病気・治療解説

概念

原発性低リン血症性くる病は、腎尿細管におけるリン再吸収の異常により、尿リン排泄が増加し、血清リン濃度が低下する事によりくる病をきたす疾患である。遺伝性と非遺伝性に分けられ、前者はさらに、遺伝形式および症状により数種類の疾患に分類される。最近、線維芽細胞増殖因子23(FGF23: Fibroblast growth factor 23)がリン利尿を惹起する主因子として同定され、FGF23の上昇に寄るくる病をFGF23関連低リン血症性くる病とも呼ぶ。高カルシウム血症を伴わない低リン血症は後天性にもおこり、腫瘍に伴う尿中リン排泄増加、薬剤などによる尿細管機能異常などでみられる。

疫学

詳細は不明。最も多いX連鎖性低リン血性くる病は数万人に1人程度とされ、日本小児内分泌学会の調査では、全国で126人の患者が把握されている

病因

病型と責任遺伝子の関係は以下のようである。
X染色体連鎖性低リン血症性くる病(XLH):PHEX  常染色体優性低リン血症性くる病(ADHR):FGF23  常染色体劣性低リン血症性くる病(ARHR):DMP1,ENPP1  高カルシウム尿症を伴う遺伝性低リン血症性くる病(HHRH):SLC34A3

症状

低リン血症、過リン酸尿、ビタミンD抵抗性くる病、骨変形、O脚、関節腫脹、低身長および骨単純X像としてさかずき様変化や毛羽立ちなどのくる病所見がみられる。HHRHでは低リン血症、過リン酸尿に高カルシウム尿症を伴う。そのため、腎石灰化、尿路結石、血尿が見られることがある

治療

腎臓からのリン酸排泄増加が本症の病態の中心であるので、充分なリンの補充を行うことが原則であるが、血清リン値は変動しやすいこともあり、同時に活性型ビタミンDを投与する。一般的に比較的大量(0.1-0.3μg/kg)の活性型ビタミンDと中性リン酸塩(リン酸として10-30 mg/kg/day程度を分4で投与)が用いられる。治療開始時には大量を必要とするが、以後は尿中カルシウム排泄、血中リン値、アルカリフォスファターゼ値を指標として投与量を決定する

予後

予後を規定する最大の因子は腎機能であり、腎機能の保持に努める。骨石灰化は完全には治癒せず、骨変形や病的骨折をきたす危険性が高い。後縦靭帯骨化症の合併リスクが高い

小児慢性特定疾患情報センターhttps://www.shouman.jp/より、許可をいただき掲載しております。

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