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  2. 下垂体性巨人症

かすいたいせいきょじんしょう
下垂体性巨人症Pituitary gigantism

小児慢性疾患分類

疾患群5
内分泌疾患
大分類2
下垂体性巨人症
細分類3
下垂体性巨人症

病気・治療解説

概念

下垂体性巨人症は,骨端軟骨線が閉鎖する前に発症し、主に下垂体成長ホルモン(GH)産生腺腫による高身長症である.骨端線閉鎖後に発症した場合には,先端巨大症となる.先端巨大症との違いは,小児期においては副症候が著明ではなく,身長発育が箸明に認められる.

病因

下垂体のGH産生腺腫からのGH過剰分泌により発症する。下垂体のGH産生腺腫ではGs蛋白のα-subunitの遺伝子の機能獲得型変異が見出されることがある。またMcCune -Albright 症候群に合併することもある.

疫学

先端巨大症の有病率は100万人当たり50~60例、発病率は100万人当たり3~4例と推定されている。小児期で発症する下垂体性巨人症は全体で3%程度と推定されている。

臨床症状

病態は、GH過剰分泌によるものと, GH産生腺腫の圧迫によるものがある。
GH分泌過剰により、小児期には著明な成長率増加の結果,高身長が認められる。末端肥大症と異なり小児期には副症候は比較的少ない。GH産生腺腫の圧迫症状としては、視野障害、頭痛などがある。また正常下垂体組織を圧迫することによる下垂体前葉機能低下を併発することがある。まずゴナドトロピンの分泌が障害され、次いでTSH, ACTHが障害を受ける。

診断

臨床症状、内分泌学的検査および画像診断により行う。鑑別診断する。
本症では、内分泌検査で自律的なGH分泌の過剰,血清IGF-Iの高値が認められ、画像診断により下垂体腺腫を認めれば診断は容易である。経口ブドウ糖負荷によるGHの抑制試験は有用である。
画像診断は、単純X線検査でのトルコ鞍の風船様拡大やトルコ鞍の二重床像が診断に有用であるが、造影剤を用いた下垂体MRIが最も有用である。
鑑別疾患としては、高身長を示す体質性高身長、 Marfan症候群、 Klinefelter症候群、脳性巨人症、思春期早発症などがある。

治療

病因が下垂体腫瘍による場合は、腫瘍の摘除または退縮によりGH分泌過剰による症候の是正と腫瘍の圧迫による障害を軽減することが治療の目的となる。
治療は手術療法、薬物療法、放射線療法がある。治療の第一選択は、経蝶形骨洞的下垂体腫瘍摘除術(Hardy法)である。術後コントロール不良例または十分な腫瘍摘出ができない例には、薬物療法を行う。ドーパミン作動薬のブロモクリプチンやソマトスタチン誘導体のオクトレオチドが用いられる。
手術ができない場合や手術後コントロール不良で薬物療法により効果がない場合、再発の場合には放射線療法(定位的照射線治療(ガンマナイフなど)が行われる。

予後

小児期においての下垂体性巨人症だけの多数例の治療予後報告はない。平成2年の間脳下垂体機能障害調査研究班の報告では、25例の下垂体性巨人症のうち治癒軽快が80%、不変8%、増悪・再発・日常生活高度障害がそれぞれ4%であった。

小児慢性特定疾患情報センターhttps://www.shouman.jp/より、許可をいただき掲載しております。

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