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しょうかたいしゅ
松果体腫Pineocytoma

小児慢性疾患分類

疾患群1
悪性新生物群
大分類6
中枢神経系腫瘍
細分類78
松果体腫

病気・治療解説

定義

松果体細胞に類似した細胞からなる腫瘍で、松果体細胞ロゼットを伴うものと大小の神経細胞が混在する多形成を示すものがある。生物学的に良性の腫瘍(WHOグレードI)である。松果体から発生する未熟な悪性の腫瘍は松果体芽腫で、小型の未分化な細胞の充実性増殖からなり、周囲への浸潤、髄液播種をきたしやすく、WHOグレードIVと悪性度が高い。

疫学

松果体腫は比較的まれな腫瘍である。年齢別の発生頻度は、10歳未満は4%と少なく、10歳から成人期に発生する。これに対し、松果体芽腫は年少児に多く、5歳までに全年齢の1/4が発生し、10歳から30歳までは残り3/4が発生する。

症状

松果体部に発生するので中脳背側の圧排による眼球運動障害があるが、胚細胞腫瘍ほど高率ではない。中脳水道狭窄による水頭症をきたしやすい。

診断

松果体部に発生しやすい胚細胞腫瘍との鑑別は、腫瘍マーカー(αフェトプロテイン、βHCG)が上昇しなければ画像上での鑑別は難しい。胚細胞腫と同様に、松果体腫や松果体芽腫では嚢胞や石灰化をともなうことがあり、増強効果もさまざまに受ける。松果体腫では周囲との境界が比較的明瞭であるが、松果体芽腫では周囲脳への浸潤や播種所見を伴いやすい。摘出標本から病理組織学的に確定診断する。

治療

松果体腫でも松果体芽腫でも腫瘍の摘出が第一選択である。松果体腫は良性腫瘍と言われるが、摘出後に残存腫瘍を認めれば再発しやすいので、全摘出できない場合は術後の放射線治療が薦められる。松果体芽腫では、摘出後に放射線治療を行った平均生存期間は30か月であるが、播種を認めない例では2年以上である。抗がん剤治療として、シクロフォスファミドあるいはブスルファンの大量投与で4年非再発生存率69%、シクロフォスファミドやメソトレキセートを中心に化学療法を行い、3歳以上で放射線治療を追加し平均生存期間が7.9年と化学療法の有効性が示唆されている。

予後

松果体腫に関して小児の多数例の予後の報告はない。松果体芽腫の治療結果を下記の表(文献①より引用)に示す。

pineoblastomaの治療成績

文献

松谷雅生:§10 松果体部腫瘍、Pineocytomaとpineoblastoma:横田 晃監修、山崎麻美、坂本博昭編集:小児脳神経外科学、金芳堂、京都、2009、pp649-653.
日本脳外科学会・日本病理学会編:脳腫瘍取扱い規約 第3版、金原出版、東京、2010.
太田富雄 総編集、川原信隆、西川 亮、野崎和彦、吉峰俊樹 編集:脳神経外科学 改訂11版、金芳堂、京都、2012.

小児慢性特定疾患情報センターhttps://www.shouman.jp/より、許可をいただき掲載しております。

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