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こるねりあ で らんげしょうこうぐん
コルネリア デ ランゲ症候群Cornelia de Lange syndrome

小児慢性疾患分類

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[Orpha番号:ORPHA199]

特徴的な顔貌、多毛症、軽度から重度の知的障害、子宮内から認める胎児発育不全(IUGR)および/または出生後の成長障害、哺乳・摂食障害、手足の異常(重度の四肢形成不全、少指症から第1指の中手骨短縮症まで)等を主徴とする、まれな先天異常症候群である。様々な内臓の形態異常を認めることがある。

病気・治療解説

疫学

欧州では、コルネリア デ ランゲ症候群(Cornelia de Lange syndrome:CdLS)の出生時有病率は1/80,000と推定されている。

臨床像

顔貌の特徴としては、はっきりした弓状の眉毛、眉毛叢生、長い睫毛、短い鼻、低い鼻梁、上向きの鼻孔、小顎症、滑らかな長い人中、下向きの口角と薄い上口唇などがある。哺乳・摂食障害と成長障害は、しばしば胃食道逆流を合併する。全領域に及ぶ発達の遅れ、特に発話の遅れは、軽度から重度の知的障害へと進展する。様々な行動異常が報告されている(不安、自閉傾向/自閉症、内気、強迫性障害、自傷行動、精神障害)。難聴のほか、心臓、腎臓、骨格、消化管、および生殖器などに、様々な形態異常がみられることもある。

病因

コヒーシン複合体の構造または調節要素に関与する6つの遺伝子に原因となる病的バリアントが同定されている。NIPBLバリアント(5p13.2)による発症が最も高頻度である(全患者の70%)。原因遺伝子のうち頻度の低いものとしては、X連鎖型CdLSと関連するSMC1A(Xp11.22-p11.21)、非古典型と関連するSMC3(10q25)ミスセンスバリアント、主に非古典型と関連するRAD21(8q24.11)、いくつかの顕著な特徴を伴うX連鎖型CdLSと関連するHDAC8(Xq13.1)、非古典型または軽症型CdLSとの関連が近年報告されたBRD4(19p13.12)などがある。ある程度の遺伝型-表現型相関が認められ、重症型はNIPBLと関連している頻度が高い。

診断方法

診断は、しばしば臨床像から疑われ、基準を満たせば古典型の臨床診断を確定できる。古典的な表現型を示す患者の最大70%で、遺伝学的検査により診断が確定する。遺伝子パネル検査による診断では、原因遺伝子のほか、鑑別疾患に関わる複数の遺伝子(例、ANKRD11)を含むものを使用すべきである。CdLSでは体細胞モザイクが、かなりの頻度で起こるため(15%)、遺伝学的検査では唾液またはスワブで採取した頬粘膜細胞を検体とする評価を考慮する必要がある。

鑑別診断

多毛症は、コフィン-シリス症候群(Coffin-Siris syndrome)、ヴィーデマン-スタイナー症候群(Wiedemann-Steiner syndrome)、ルビンシュタイン-テイビ症候群(Rubinstein-Taybi syndrome)、CHOPS症候群など、クロマチン/転写調節遺伝子に影響を及ぼす他の症候群でもよくみられる。その他の鑑別疾患としては、ムコ多糖症、胎児性アルコール症候群、スミス-レムリ-オピッツ症候群(Smith Lemli Opitz syndrome)などがある。KBG症候群と軽症または非定型のCdLSとの間には症状の重複が認められる。

出生前診断

出生前超音波検査では、子宮内からの胎児発育不全、形態異常(横隔膜ヘルニア、四肢欠損)、後頸部の肥厚、および顔貌の特徴的所見を認めることがある。出生前遺伝学的検査は家系員で過去に病的バリアントが同定されている場合に、提案することができる。

遺伝カウンセリング

大半が散発例である。ときに家系内発症が起こることがあり、遺伝形式は常染色体顕性(優性)である。表現度の多様性が想定される軽症例では、遺伝カウンセリングにおける再発率推定が困難となる可能性がある。病的バリアントが検出されていない両親から再発した場合の要因としては、生殖細胞系列モザイクで説明される。X連鎖型(SMC1A、HDAC8)では、遺伝カウンセリングに配慮が必要である。

管理および治療

本疾患を根治できる治療法はないが、心理教育的ケアが必要である。成長障害と胃食道逆流には経管栄養、胃切開術、およびNissen法による逆流防止術の特異的ケアが必要である。多臓器や感覚神経に対する合併症のスクリーニングが生活の質の改善に役立つ。

予後

適切なケアを受けた場合の平均余命は典型的には変化しないが、フォローアップデータが不足している。重度または無治療の臓器形態異常がある場合、平均余命が短縮する可能性がある。生活の質は、重度の四肢欠損、行動障害、および精神障害によって大きく異なる。聴覚障害は診断が難しいことがあり、一部の成人患者では時間とともに改善することが報告されている。

翻訳情報

専門家による英語原文の校閲
Dr Alice GOLDENBER
Dr Gabriella VERA

日本語翻訳版の監訳
吉橋 博史(IRUD 臨床専門分科会 臨床遺伝委員/ 地方独立行政法人 東京都立病院機構 東京都立小児総合医療センター臨床遺伝科 部長)

日本語版URL
https://www.orpha.net/pdfs/data/patho/Pro/other/Cornelia_de_Lange_syndrome_JP_ja_ORPHA199.pdf
英語原文URL
https://www.orpha.net/en/disease/detail/199

最終更新日:2021年9月
翻訳日:2024年3月

本要約の翻訳は、未診断疾患イニシアチブ(IRUD)臨床専門分科会に所属される専門医や、その他の希少疾患専門医のご協力の下で行われています。

注意事項

※本要約は情報の提供を唯一の目的として公開しているものです。専門医による医学的ケアの代わりとなるものではありません。本要約を診断や治療の根拠とすることはお控えください。

※この情報は、フランスのOrphanetから提供されており、原文(英語)がそのまま日本語に翻訳されています。このため、国内で配信されている他の媒体と一部の内容が異なる場合があります。保険適用に関する診断基準など、国内の医療制度に準拠した情報が必要な場合は、厚生労働省の補助事業により運営されている難病情報センターや小児慢性特定疾病情報センター等の専門情報センターのホームページをご参照ください。

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