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ほじきんりんぱしゅ
ホジキン(Hodgkin)リンパ腫Hodgkin lymphoma; HL

小児慢性疾患分類

疾患群1
悪性新生物群
大分類3
リンパ腫
細分類22
ホジキン(Hodgkin)リンパ腫

病気・治療解説

概要

ホジキンリンパ腫(Hodgkin lymphoma, HL)はリンパ節または他のリンパ性組織に原発するリンパ性悪性腫瘍であり、組織学的にReed-Sternberg細胞またはその変種を有するものとされる。臨床像、病理像の相違から結節性リンパ球優位型HL (nodular lymphocyte predominance Hodgkin lymphoma: NLPHL)と古典的classical (C) HL [混合型ホジキンリンパ腫(mixed cellularity: MCCHL),結節性硬化型ホジキンリンパ腫(nodular sclerosis: NSCHL), リンパ球豊富型ホジキンリンパ腫(lymphocyte-rich: LRCHL), リンパ球減少型ホジキンリンパ腫(lymphocyte depletion: LDCHL)]に大別される1)。
疫学2)
HLは小児・成人領域を含め欧米では一般的な疾患の一つではあるが(悪性リンパ腫の30%)、わが国においては悪性リンパ腫の5-10%にすぎない。発症のピークは2峰性であり、小児期(特に10代後半)および55歳以上に好発する。14歳未満発症例においては、成人と比較して混合細胞型および結節性リンパ球優位型が多いのが特徴である。とくに幼少時発症例ではEpstein-Barr(EB)ウイルス感染が関与し、混合細胞型であることが多い。
小児における免疫未熟性および年長児における免疫調節異常(いずれも細胞性免疫異常)などがHL発症と関連すると報告されている。また、HLにおいてさまざまな非腫瘍死が問題になり、その中には免疫の障害に起因すると考えられる日和見感染症が含まれる。

症状

多くの症例は無痛性の表在リンパ節腫脹を契機に診断される。75%の症例で頸部リンパ節腫脹が初発症状であり、同時に腋窩リンパ節腫脹を有する例が約25%、鼠径部リンパ節腫脹を有する症例が約10%。NSCHLの約60%に縦隔病変が認められる。診断時に発熱、体重減少、盗汗(B症状)を認めるのは約40%であり、発熱は診断時の約25%に認められる(Pel-Ebstein型)。結節性硬化型ホジキンリンパ腫では縦隔リンパ節腫脹による呼吸困難、咳嗽、胸痛、嚥下困難、嗄声、上大静脈症候群、胸水、心嚢液貯留が認められることがある。非ホジキンリンパ腫と比較すると節外病変で発見されることは稀である。

診断方法

診断手引きはこちら

治療

小児血液学会(現、小児血液・がん学会)が小児白血病・リンパ腫診療のガイドラインを作成している3)。小児HLに対する標準的な治療戦略は、多剤併用化学療法と初発時に腫瘍が存在した領域(Involved field、IF)を照射野とする低線量放射線照射の併用である。治療強度は主として病期に応じて選択されるが、一般的に組織型による治療の選択は行われていない。早期(病期I、IIAかつ巨大腫瘤を有しない症例)に対しては、多剤併用化学療法2-4コースと低線量IF照射15-25Gyの併用療法、進行例(病期IIB-IV、あるいは巨大腫瘤を有する症例)に対しては、多剤併用化学療法4-8コースと低線量IF照射 20-25Gyの併用療法を行う。HL治療の最大課題として二次がん、不妊、心障害を中心とする晩期合併症があげられる。したがって、現在の小児HLに対する治療目標は、効果を維持しつつ晩期合併症をできる限り減らすことであり、初期治療反応良好例においては放射線照射を省略するレジメンも試みられている。

予後

5年無病生存率および全生存率は低リスクHLにおいて各々90%以上、95%以上、高リスクにおいても各々80%以上、90%以上と良好な成績が得られている。

参考文献

1) 押味和夫、木崎昌弘、田丸淳一 WHO分類第4版による白血病・リンパ系腫瘍の病態学 Hodgkinリンパ腫、中外医学社、2009:379-393
2) 古賀友紀、熊谷昌明 特集:小児リンパ腫 小児ホジキンリンパ腫、日本小児血液学会雑誌、2010:24:255-260
3) 古賀友紀、他:小児のホジキンリンパ腫の標準的治療は何か 小児白血病・リンパ腫の診療ガイドライン 2011年度版 2011:81-82

小児慢性特定疾患情報センターhttps://www.shouman.jp/より、許可をいただき掲載しております。

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