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遺伝性運動感覚ニューロパチーHereditary Motor and Sensory Neuropathy; Charcot-Marie-Tooth disease

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病気・治療解説

概念

末梢神経が遺伝的に障害される疾患を総称して遺伝性運動感覚ニューロパチーとよぶ。末梢神経は運動神経、感覚神経、自律神経に大別され、また構造上軸索と髄鞘から構成されている。遺伝性運動感覚ニューロパチーはこれら末梢神経構成成分の遺伝子異常によって生じており、電気生理検査および遺伝学的検査によって診断することができる。

病因

末梢神経をコードする様々な遺伝子変異により疾患が発症する。現在まで40を超える責任遺伝子
(PMP22、MPZ、KF1B、MFN2、RAB7、TRPV4、
GARS、NEFL、HSPB1、HSPB8、AARS、GDAP1、
MTMR、SBF2、MTMR13、SH3TC2、NDRG1、PRX、
HK1、FGD4、FIG4、GJB1等)
が同定されているが、それぞれ末梢神経の構成成分をコードしている部位が異なるため、責任遺伝子によって疾患症状および検査所見の相違が生じることになる。

疫学

遺伝子運動感覚ニューロパチーの中で、シャルコーマリートゥース病については厚生労働省研究班の全国調査により国内に2000人の患者が存在することが報告されている。

臨床症状

末梢神経の障害により、筋力低下、筋萎縮、感覚障害を発症する。一般的に病状変化は緩徐であり、徐々に症状が進行してゆく。筋力低下は進行すると歩行が困難になり、感覚異常が進行すると皮膚障害を併発することがあり、日常生活が困難になることも少なくない。症状は基本的に末梢神経中心であり中枢神経障害の合併は一般的に少ない。

診断

末梢神経障害を来たす遺伝子異常を同定することで確定診断となる。現在まで40以上の責任遺伝子が判明しており、臨床症状と検査所見によって責任遺伝子を推定し遺伝学的検査を行う。本疾患の責任遺伝子の推定には臨床症状、病歴、電気生理学的検査が重要になる。臨床症状では罹患部位を同定し、病歴では発症および遺伝形式を聴取し、また電気生理学的検査では神経伝導速度と複合運動単位によって軸索障害と髄鞘障害に大別するが、一般的に神経伝導速度が38m/s以上の場合は軸索障害、38m/s以下の場合は髄鞘障害と判断される。以上より、遺伝性運動感覚ニューロパチーは下記の5カテゴリーに分類・診断される。

1 シャルコー・マリー・トゥース病1型 (Charcot-Marie-Tooth disease, type 1) :脱髄型
(1)CMT1A型:PMP22 遺伝子(重複、点変異)
(2)CMT1B型:MPZ 遺伝子

2 シャルコー・マリー・トゥース病2型 (Charcot-Marie-Tooth disease, type 2) :軸索型
KF1B 遺伝子、MFN2 遺伝子、RAB7 遺伝子、TRPV4 遺伝子、GARS 遺伝子、NEFL 遺伝子、HSPB1 遺伝子、HSPB8 遺伝子、AARS 遺伝子

3 シャルコー・マリー・トゥース病4型 (Charcot-Marie-Tooth disease, type 4) :脱髄型
GDAP1 遺伝子、MTMR 遺伝子、SBF2 遺伝子、MTMR13 遺伝子、SH3TC2 遺伝子、NDRG1 遺伝子、PRX 遺伝子、HK1 遺伝子、FGD4 遺伝子、FIG4 遺伝子

4 シャルコー・マリー・トゥース病X型 (Charcot-Marie-Tooth disease, type X):脱髄型と軸索型の中間型
GJB1 遺伝子

5 遺伝性圧脆弱性ニューロパチー (Hereditary Neuropathty with liability to Pressure Palsy) :脱髄型PMP22 遺伝子(欠失)

治療

現在まで根本的治療は報告されていない。理学療法、手術療法、薬物療法があり、臨床症状にあわせて選択される。理学療法にはリハビリテーション、QOL確保のための装具の処方があり、手術療法では関節拘縮や腱手術が選択され、薬物療法としてはビタミン治療等が考慮される。

小児慢性特定疾患情報センターhttps://www.shouman.jp/より、許可をいただき掲載しております。