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とうげんびょうごがた
糖原病Ⅴ型Glycogen storage disease type V

小児慢性疾患分類

疾患群8
先天性代謝異常
大分類5
糖質代謝異常症
細分類69
糖原病Ⅴ型

病気・治療解説

概要

糖原病V型(McArdle病)は筋グリコーゲンホスホリラーゼの欠損により発症する常染色体劣性遺伝性疾患である。骨格筋の筋収縮に必要なATPの供給が不足し、運動不耐、運動時有痛性筋けいれん、横紋筋融解症(ミオグロビン尿症)を発症する。

疫学

有病率は10万人から20万人に1人程度と推測される。我が国で行った2回の全国調査では、それぞれの10年間に各々約20名が本疾病と診断されている。

病因

グリコーゲンホスホリラーゼはグリコーゲンを加リン酸分解しグルコース-1-リン酸を生成するグリコーゲン分解の律速酵素である。糖原病V型は筋グリコーゲンホスホリラーゼの欠損により、骨格筋のグリコーゲン分解が障害され、ATPの供給が不足する。原因遺伝子は染色体11q13.1に存在し筋グリコーゲンホスホリラーゼをエンコードするPYGMで、ホモ接合または複合ヘテロ接合の変異により発症する。

症状

運動不耐、運動時有痛性筋けいれん、ミオグロビン尿症。強い短時間の等尺性運動でそれらの筋症状が誘発される。運動を続けるうちに、突然筋痛や有痛性筋けいれんが軽快し再び運動の持続が可能となる“セカンドウィンド現象”が高率に認められる。

診断

診断の手引き

治療

横紋筋融解症、腎機能障害の急性期には、大量輸液,高カリウム血症対策と尿アルカリ化,急性腎不全に対しては血液透析などを行う。筋症状や筋崩壊の予防のために、重量挙げなどの強い等尺性の運動を避ける。運動前のショ糖摂取により運動耐性が改善する。ビタミンB6投与が有効である可能性がある。 有酸素運動が運動能力を高めることに効果があったと報告されている。

予後

生命予後は良好である。筋力低下、筋萎縮が進行することがある。

成人期以降

筋力低下、筋萎縮が進行することがある。

参考文献

1) Sato S et al. Confirmation of the efficacy of vitamin B6 supplementation for McArdle disease by follow-up muscle biopsy. Muscle Nerve. 2012; 45:436-440.
2) Quinlivan R, et al. Physical training for McArdle disease. Cochrane Database Syst Rev. 2011; 7:CD007931

小児慢性特定疾患情報センターhttps://www.shouman.jp/より、許可をいただき掲載しております。

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