SMN2スプライシング修飾剤エブリスディ、脊髄性筋萎縮症(SMA)の適応で承認を取得
中外製薬株式会社は6月23日、脊髄性筋萎縮症(SMA)の治療薬である「エブリスディドライシロップ60mg」(一般名:リスジプラム)について、脊髄性筋萎縮症を効能または効果として、厚生労働省より製造販売承認を取得したと発表しました。
脊髄性筋萎縮症(SMA)は、脊髄の運動神経細胞の変性によって筋萎縮や筋力低下を示す遺伝性の神経筋疾患。SMAの原因遺伝子はSMN遺伝子であり、SMN1遺伝子の機能不全に加え、SMN2遺伝子のみでは十分量の機能性のSMNタンパクが産生されないため、SMAを発症します。乳児期から小児期に発症するSMAの患者数は10万人あたり1~2人で、乳幼児においては最も頻度の高い致死的な遺伝性疾患です。
エブリスディは、SMNタンパクの欠損につながる5番染色体の変異によって引き起こされるSMAを治療するためにデザインされたSMN2スプライシング修飾剤。SMNタンパクレベルを増加・維持することでSMAを治療するよう設計されています。同剤は2020年8月に米国で、2021年3月に欧州で承認を取得しています。
今回の承認は、症候性のI型SMAの乳児患者さんを対象に実施されたFIREFISH試験、ならびにII型とIII型SMAの小児および若年成人患者さんを対象に実施されたSUNFISH試験の成績に基づくものです。なお、エブリスディは2019年3月に希少疾病用医薬品の指定を受けており、2020年10月に承認申請が行われていました。
中外製薬代表取締役社長CEOの奥田修氏は、プレスリリースにて「脊髄性筋萎縮症に対する初の経口薬として、エブリスディが乳児から成人にわたり広く在宅治療の機会を提供できることを大変嬉しく思います。経口剤のため患者さんの投与負担軽減が期待される本剤を、脊髄性筋萎縮症に対する新たな治療選択肢として一日も早くお届けできるよう、発売に向けた準備を進めてまいります」と述べています。