アジア人集団初となる重症筋無力症の大規模ゲノム解析で新たな発症関連遺伝子を発見
大阪大学の研究グループは5月18日、アジア人集団として世界で初めてとなる重症筋無力症の大規模ゲノムデータセットを構築し、ゲノムワイド関連解析を実施し、その結果、5番染色体にあるTERT遺伝子の領域に、重症筋無力症の発症と関連する新たな遺伝子座を発見したと発表しました。
重症筋無力症(指定難病11)は、神経と筋肉の接合部に対する自己抗体が原因で、神経から筋肉への刺激伝達が障害される自己免疫疾患です。主な症状としてまぶたが下がる眼瞼下垂や筋力低下が現れ、重症化すると呼吸困難や歩行障害を引き起こすことがあります。発症には遺伝的要因と環境要因の両方が関わっていると考えられていますが、これまでの大規模なゲノム解析は欧米人集団を対象としたものばかりであり、アジア人集団での報告はありませんでした。
今回研究では、日本人の重症筋無力症を発症した1,434名と、発症していない42,913名を対象に解析。その結果、これまで報告されていたHLA領域に加え、新たにTERT遺伝子領域が発症に関連していることが明らかになりました。さらに、病気のタイプ別に分類して解析したところ、TERT遺伝子は胸腺腫に関連するタイプと、HLA遺伝子は胸腺腫に関連しないタイプと有意に関わっていることが判明し、病気のタイプごとに異なる遺伝的な背景があることが示されました。また、TERT遺伝子座で強い関連を示した遺伝子多型は、一部の病型において治療の効きにくさとも関連していました。加えて、他のデータを用いた解析により、この発症リスクを持つ場合は肺がんのリスクが上昇し、細胞の染色体を保護するテロメアが短くなる傾向があるなど、多面的な影響を持つことも確認されています。

なお、同研究の成果は、英国科学誌「Nature Communications」に3月12日付で掲載されました。
