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ミトコンドリアDNAの細胞質への漏出、パーキンソン病モデルの神経変性に関与

新潟大学は5月26日、ミトコンドリアDNAが細胞質に漏出することで炎症反応や細胞死、神経変性が惹起されていることを様々なパーキンソン病モデルで明らかにし、ミトコンドリアDNAの細胞質漏出のセンサー阻害や細胞質ミトコンドリアDNAの分解促進によって、病的な状態が改善することを見出したと発表しました。

この研究成果は、同大脳研究所脳病態解析分野の松井秀彰教授、同研究所病理学分野の柿田明美教授、同研究所脳神経内科学分野の小野寺理教授らの研究グループによるもので、論文は専門誌「Nature Communications」に5月25日付で掲載されました。

運動障害やそれ以外の多彩な症状を呈する神経難病の1つであるパーキンソン病は、未だその病態に不明な点が多く残されています。パーキンソン病の病態には、ミトコンドリア機能障害やリソソーム機能障害が関わっていることが以前より示唆されてきましたが、その詳細なメカニズムは不明でした。

今回の研究では、リソソーム中に存在し、DNAを分解する酵素の1つである「DNaseII」などによる分解から逃れたミトコンドリア由来の細胞質DNAが、細胞毒性および神経変性を誘導することを、パーキンソン病を模した培養細胞やゼブラフィッシュを用いて確認しました。また培養細胞では、パーキンソン病に関連する遺伝子である「PINK1」「GBA」「ATP13A2」の減少がミトコンドリア由来の細胞質DNAの増加を引き起こし、I型インターフェロン応答と細胞死を誘導していたそうです。

画像はリリースより

これらは、DNaseIIの過剰発現、またはミトコンドリアDNAのセンサーとして機能するIFI16の減少によって改善。パーキンソン病モデルのゼブラフィッシュではヒトDNaseIIを過剰発現させることで、運動障害とドーパミン作動性神経の変性が改善されました。なお、IFI16やミトコンドリア由来の細胞質DNAは、パーキンソン病患者さんの病変部位においても蓄積が認められたそうです。

これらの結果は、ミトコンドリアDNAの細胞質への漏出がパーキンソン病の神経変性の重要な原因となる可能性を示唆しています。研究グループはプレスリリースで、「細胞質に漏出したミトコンドリアDNAの分解、あるいはそのミトコンドリアDNAセンサーの阻害が、パーキンソン病の治療につながる可能性があります。またパーキンソン病以外の疾患でも同様のメカニズムが存在する可能性があり、引き続き検証を進めます」と述べています。

出典元
新潟大学 研究成果・実績

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