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「わからないつらさ」も、私らしく楽しさに変えて|原田彩愛さん:好酸球性副鼻腔炎

原田彩愛さんは、強い鼻づまりや嗅覚障害に悩まされながらも、前向きに日々を積み重ねてきました。診断までに時間も費用もかかり、ようやくたどり着いた病名は「好酸球性副鼻腔炎(ECRS)」。わかりにくい症状と向き合いながら働き、生活し、自分なりの楽しみ方も見つけている原田さんにお話を伺いました。

これまでの経緯

  • 2024年1月 鼻づまりのひどさで内科を受診し、花粉症と診断
  • 2024年5月 内科にて、再び花粉症によるむくみと診断
  • 2024年6月 アレルギー科で、花粉症やハウスダストの影響といわれる
  • 2024年9月 呼吸器内科で、アスピリン喘息と診断
  • 2024年10月 脳神経外科で、好酸球性副鼻腔炎(ECRS)と診断
  • 2025年 手術を行い症状が改善

好酸球性副鼻腔炎とは、どんな病気?

私は最初、この病名を聞いても正直ほとんど知識がありませんでした。

好酸球性副鼻腔炎(ECRS)は、鼻の奥にある副鼻腔という空間に強い炎症が起きる病気です。

特に「好酸球」という白血球の一種が関係していて、炎症が長引きやすく、普通の副鼻腔炎よりもしつこいのが特徴だと聞きました。

症状としては、強い鼻づまり、鼻水、嗅覚障害が出やすく、重くなると鼻で呼吸するのも苦しくなります。

私もまさにその状態で、鼻がつまりすぎて眠れない日がありました。

口呼吸になるので風邪もひきやすくなって、「なんだかずっと体調がすっきりしない」という感じが続いていました。

この病気は、菌に感染すると悪化しやすいともいわれています。

少し体調を崩しただけでも症状が強くなりやすく、日常生活の中でずっと気を張っていないといけない感覚があります。

今は錠剤を4種類飲んで、点鼻薬も使いながら症状をコントロールしています。

さらに私の場合は、好酸球性副鼻腔炎(ECRS)だけではなく、アスピリン喘息も併発しています。

アスピリン喘息は、解熱鎮痛薬の一部で発作が起きたり、症状が悪化する可能性がある病気です。

そのため、熱が出たり、ほかの病気になったりしたときでも、気軽に痛み止めや解熱剤を飲めません。

風邪をひいても薬の選択肢が少なく、どうしても長引きやすいのが大きな悩みです。

診断がつくまで

私は2024年のはじめから、ひどい鼻づまりに悩んでいました。

でも最初は内科で花粉症と診断されて、5月にもまた花粉症のむくみだといわれました。

6月にはアレルギー科でも花粉症やハウスダストの影響と説明されていて、その時点では私自身も「そういうものなのかな」と思っていました。

けれど、症状のつらさはどう考えても軽い花粉症ではありませんでした。

鼻で呼吸ができないくらい詰まってしまうし、眠れないし、体もどんどんしんどくなっていきました。

何度も受診して、少しずつ違う可能性が見えてきて、9月に呼吸器内科でアスピリン喘息と診断され、10月に脳神経外科でやっと好酸球性副鼻腔炎(ECRS)だとわかりました。

診断までにお金もかかりましたし、何科に行けばいいのかもわからず、なんとも言えない大変さがありました。

症状があるのに病名がはっきりしない期間は、身体的なしんどさだけではなく、気持ちの面でもかなり消耗します。

「つらいのに、うまく説明できない」という状態がずっと続いていたからです。

はじめて診断されたときは、あまり聞きなれない病気だったので、不安になる一方、少し安心した気持ちもありました。

自分のつらさにちゃんと名前がついたことが大きかったです。

有名な方が同じ病気だと知れたことも、私の気持ちを支えてくれました。

もし何の情報もなかったら、もっと落ち込んでいたと思います。

だからこそ私は、同じ病気で悩む人にとって、少しでも情報があることがすごく大事だと感じています。

症状そのものより「生活のしづらさ」

この病気で特につらかったのは、匂いがわからなくなったことです。

嗅覚障害が出ると、食べ物のおいしさが変わりますし、人との会話の中でも困る場面があります。

友達に、「この香水嗅いでみて」と言われてもわからないですし、デート中に偶然食レポの取材を受けたときも、「味が濃くて美味しいです!」としか言えなくて、かなり気まずかったです。

匂いがしないことは、楽しみが減るだけではありません。

危険に気づきにくくなることもあります。

例えば、ガス漏れのように、匂いがサインになるものには自分では気づけないことがあります。

周りの人が、「なんか臭い」と言ったら、私は一応呼吸を浅くして、危なくないか気をつけるようにしています。

こういう小さな不安が、生活のあちこちにあります。

それでも、私は少しでも楽しく受け止めたいと思っていて、匂いがわからないことを逆に友達との遊びに変えたりもしています。

利き茶や、いろいろなものを嗅いで当てる遊びをしてみるのですが、当然ほとんど当たりません。

でも、それを笑いながら過ごせる時間は、病気に振り回されすぎないためにも大切だなと思っています。

食べ物の感じ方も変わりました。

カレーや焼きそばは、匂いがないとおいしさがかなり減るんだなと実感しました。

その反動なのか、私は辛いものが好きになりました。

辛さは、匂いとは別の刺激として感じやすいので、食べたときの刺激がストレス発散にもなっています。

パクチーが嫌いだったのに、水菜みたいに食べられたときは自分でもびっくりしましたし、ドリアンも意外と平気で、バナナみたいに感じました。

海外旅行では、もしかしたらこれが強みになるかもしれないと思うこともあります。

大量のティッシュと一緒に過ごす毎日

私の生活でかなり現実的な困りごとになっていたのが、ティッシュです。

鼻の症状が強いので、とにかく大量に必要になります。

ポケットティッシュではまったく足りなくて、私はボックスティッシュを持ち歩いていました。

さらにゴミ袋も必要なので、荷物はいつも多めです。

おしゃれをしたい日でも、結局は大きめのトートバッグを持って、すぐティッシュを取り出せるようにしていました。

見た目の問題というより、「備えていないと不安」という気持ちのほうが大きかったです。

鼻の状態は突然つらくなるので、準備していないと外出そのものがしんどくなります。

こういうことは一見小さな悩みに見えるかもしれませんが、毎日積み重なるとかなり大変です。

しかも周りからは風邪と勘違いされることが多くて、喘息の咳も含めて、「体調悪そうだね」くらいで終わってしまうことがあります。

指定難病といわれても、見た目では伝わりにくいですし、障害者とも言いがたい立場なので、理解されにくい現実があります。

ヘルプマークの対象でもないので、困っていても周りに伝えづらいです。

個人的には、常にティッシュがヘルプ状態です。

薬の副作用や、痛み止めが使えない不安

治療の中では、薬の副作用にも悩まされました。

ステロイドを使ったときには、身体にブツブツが出てしまって、水ぶくれのように荒れてしまったことがあります。

見た目のつらさもありますし、皮膚が荒れるとそれだけで気分も落ちます。

さらに腹痛など、胃腸の荒れも出ていて、薬で治療しているのに別のつらさが重なる感覚がありました。

アスピリン喘息があることで、痛み止めが使いにくいのも大きな不安です。

私は、骨折は一生したくないなと思ってしまいますし、女性ですから出産に対しても怖さがあります。

みんなにとって当たり前に使える薬が、自分には使えないかもしれない。

そのことが、未来の出来事まで不安にしてしまうんです。

2025年に手術を受けたのですが、術後も痛み止めの制限があるので、そこはほかの人とは違う経験だったと思います。

同じ病気でも、人によって症状も治療の感じ方も違いますし、併発している病気によって大変さもかなり変わると実感しました。

だから私は、「同じ病名だから同じつらさ」とは限らないことも伝わってほしいと思っています。

受付の仕事の日常

私は矯正歯科で受付の仕事をしています。

働き始めたのは2024年で、今は1年ちょっと経ったくらいです。

受付は人と接する仕事なので、見た目の清潔感や丁寧さも大切ですし、マスクをして対応することも多いです。

でも、鼻の症状があると、マスクの中で鼻をかむこともできません。

接客中にすぐ鼻をかめないので、ティッシュをたくさん詰めてしのいでいたこともありました。

外から見ると普通に仕事をしているように見えても、実際にはかなり気を使っています。

症状があるからといって仕事を辞めるわけにもいかないので、どうやって人に迷惑をかけずに乗り切るかをずっと考えてきました。

ただ、手術をしてからはだいぶ快適になりました。

もちろん完全に何も気にしなくていいわけではありませんが、以前に比べると本当に楽です。

呼吸がしやすくなるだけで、働きやすさも生活のしやすさもかなり変わるんだと実感しました。

仕事を続けるうえでも、手術は大きな転機だったと思います。

再発の不安があっても、経験を増やしていきたい

この病気は、手術をしても再発のリスクがあるといわれています。

2年ほどで再発することもあると聞いていて、そこはやっぱり不安です。

せっかく楽になっても、また戻るかもしれないと思うと、気持ちが揺れることはあります。

それでも私は、良くないことも利用して、たくさんの経験を積んでいきたいと思っています。

匂いがわからないなら、わからないなりの面白さを見つけたいですし、制限があるなら、ある中で楽しめることを増やしたいです。

病気があるからできないことばかりを見るのではなく、病気があってもできること、病気があるからこそ見えることを大切にしたいです。

好酸球性副鼻腔炎(ECRS)は、まだまだ知られていない病気だと思います。

鼻づまりや匂いがしないことは、周りから軽く見られやすいかもしれません。

でも実際には、眠れない、食事を楽しみにくい、危険に気づきにくい、仕事中も困る、薬にも制限があるといったように、生活のいろいろな場面に影響が出ます。

だからこそ、もっと理解が広がってほしいですし、同じように悩む人が、「自分だけじゃない」と思える情報が増えてほしいです。

私はこれからも、無理をしすぎず、でも、できることはあきらめずに進んでいきたいです。

病気を持っている自分も含めて、自分らしく過ごしていきたいと思っています。

つらかった経験も、笑える話も、全部ひっくるめて自分の人生の一部です。

だからこそ私はこれからも、ちゃんと生きて、ちゃんと楽しんでいきたいです。

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