脳・脊髄の炎症性脱髄疾患、疾患ごとに異なる免疫メカニズムを解明
東北大学は2月25日、オーストリア・ウィーン医科大学との共同研究により、脳や脊髄の神経に炎症が起こる炎症性脱髄疾患について、疾患ごとに体内の免疫反応の働き方が異なることを明らかにしたと発表しました。
炎症性脱髄疾患は、免疫の異常によって神経を覆う髄鞘が傷つく病気です。代表的なものとして、視神経脊髄炎スペクトラム障害、MOG抗体関連疾患、多発性硬化症(指定難病13)などが含まれます。これらの病気は似た症状を示しますが、体内で起きている免疫反応は必ずしも同じではありません。
今回、研究グループは、体を守る免疫の仕組みのひと一つである補体に注目しました。補体は本来、細菌やウイルスなどを排除するために働きますが、自己免疫疾患では誤って自分の細胞を傷つけることがあります。研究グループは、ヒトの中枢神経組織を用いて、先述の3疾患における補体の働きを比較しました。その結果、補体が関与する場所や、活性化が進む段階が疾患ごとに異なることが判明しました。視神経脊髄炎スペクトラム障害では血管の周囲で補体が強く働き、多発性硬化症では病変の辺縁部で初期段階の補体の沈着がみられました。さらに、MOG抗体関連疾患においては、補体の働き方の強さによって2つのタイプが存在することが分かりました。補体の働きが強いタイプでは髄鞘へのダメージが大きく、症状も重くなりやすい傾向が確認されました。


以上の研究結果より、似た症状を持つ疾患の病態の違いが組織レベルで整理されました。疾患ごとに補体がいつ、どこで、どの段階まで進んでいるかが明確になったことで、それぞれの疾患の層別化や、患者さんに合わせた治療法の最適化につながる可能性が期待されるといいます。
