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希少疾患患者さんの診断ラグの分析と解決策を提示した「希少疾患白書『診断ラグ』の実態と解消に向けての提言」を刊行

アレクシオンファーマ合同会社5月14日、希少疾患領域でのさらなる貢献を目指すため、ヘルスエクイティ(医療の公平性)の実現に向けて大きな課題となっている診断の遅れ(診断ラグ)の分析、およびその解決策を提示した「希少疾患白書『診断ラグ』の実態と解消に向けての提言~最新テクノロジーと社会の力で実現するヘルスエクイティ~」を刊行したと発表しました。

希少疾患白書によると、希少疾患患者さんが診断に至るまでに要した期間は平均で3.4年間であり、診断までに5年以上を要するケースが全体の35%、おおよそ3人に1人に上ることが示されています。また、希少疾患患者さんの59%が誤診を経験したというデータも報告されています。さらに、診断ラグ期間中の医療費は一般対照群と比較して約3.4倍、通院日数は約2.2倍に達し、受診した医療機関の数も一般対照群と比較して多いという結果が示されています。これらのデータは、株式会社JMDCとアレクシオンファーマの共同調査や、Charles River Associates(CRA)が日本の希少疾患・難病患者さんを対象に2024年12月から2025年2月にかけて実施したアンケート調査に基づいたものです。

さらに、診断ラグが希少疾患患者さんにもたらす負担を直接的な医療費を含めて定量的なデータで示すとともに、日本における希少疾患患者さんを取り巻く現状と課題を整理しています。そして、診断の迅速化や医療アクセスの公平性を高めるため、中長期的な視点に立った現実的かつ実行可能な提言を記載しています。海外の先進事例も取り上げながら診断ラグの改善案について述べており、AI診断支援やゲノム解析といったテクノロジーの可能性、患者データの利活用に必要な制度整備・環境構築、さらにそれを支える政府・医療機関・患者団体・企業など多様なステークホルダーとの協業の重要性にも触れています。

希少疾患白書では、診断ラグ解消に向けた具体的な6つの提言をまとめています。第一に、新生児マススクリーニング検査の対象疾患を拡大するとともに、重症新生児に全ゲノム検査を取り入れるための環境整備を推進すること。第二に、医師が早期に疾患に気づけるためのAI診断支援ツール(SaMDなど)の活用を促進すること。第三に、希少疾患の「Center of Excellence(中核拠点)」を構築し、非専門医と専門医のつながりを強化すること。第四に、希少疾患に関するデータが早期診断に活用される環境整備を推進すること。第五に、患者の声が反映された社会の実現に向け、患者団体などの意見の政策への反映を推進し、それに必要となる資金基盤の強化を支援すること。第六に、政府が推進する中核的取り組みに、希少疾患の診断ラグや診断ロス解消に向けた施策を組み込むことです。

また、アレクシオンファーマ社長の濱村美砂子氏は、「希少疾患においては、特に診断ラグが起こりやすく、ヘルスエクイティが損なわれやすい側面があります。希少疾患における診断ラグを少しでも解消したいという思いから、この白書を取りまとめました。この白書が、希少疾患および診断ラグについて考えるきっかけとなり、社会全体での対話を促すとともに、希少疾患に関わる多様な関係者が連携し、迅速な診断、治療、ケアの実現に向けた具体的な解決策の実行へとつながることを願っています。誰もが正確な診断と適切な支援を受けられる未来を実現するためには、関係者の協働が不可欠と考えます」と述べています。

出典
アレクシオンファーマ合同会社 プレスリリース

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