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FUS変異による筋萎縮性側索硬化症(ALS)治療薬ウレフネルセン、全世界を対象とした独占的製造販売権を大塚製薬が取得

大塚製薬株式会社は11月22日、米Ionis Pharmaceuticals(アイオニス)社がFUS変異による筋萎縮性側索硬化症(Amyotrophic Lateral Sclerosis: ALS)の治療薬として開発中の「ウレフネルセン(開発コード:ION363)」について、全世界を対象とした独占的製造販売権を同社から取得するライセンス契約を締結したと発表しました。

筋萎縮性側索硬化症(指定難病2、ALS)は、手足・のど・舌の筋肉や呼吸に必要な筋肉が徐々にやせて、力がなくなっていく疾患です。四肢の筋力低下、呼吸筋麻痺などを急速に来し、数年で自発呼吸が困難になることがあります。筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者数は増加傾向にありますが、発病の原因はまだ十分に解明されていません。しかし、これまでに30を超える、筋萎縮性側索硬化症(ALS)を引き起こす遺伝子が見つかっています。FUSは、日本では2番目に多い筋萎縮性側索硬化症(ALS)の原因遺伝子として知られています(欧米では3~4番目)。FUSの遺伝子変異によって引き起こされるFUS-ALSは、一般的な筋萎縮性側索硬化症(ALS)と異なり、発症年齢が40歳前後と若い方に多く、病状の進行が非常に早いことが特徴です。

ウレフネルセンは、アイオニス社が創製したアンチセンスオリゴヌクレオチドという核酸医薬です。遺伝子変異により毒性を持った異常なFUSタンパク質が神経に蓄積することで神経変性が生じるFUS-ALSに対して、12週間ごとに脊髄注射することで異常なFUSタンパク質の生成を阻害します。現在、日本を含む各国においてアイオニス社がグローバルフェーズ3試験を実施中で、開発に成功すれば、同剤はFUS-ALSにおける世界で初めての治療薬になる可能性があります。

大塚製薬代表取締役社長の井上眞氏はプレスリリースにて、「アンメット・メディカル・ニーズに対応するため、世界中で処方されている常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)の治療薬をはじめ、IgA腎症、ループス腎炎、遺伝性血管性浮腫(HAE)、フェニルケトン尿症(PKU)など対象とした希少疾患治療薬のグローバル開発に注力しています。このたびアイオニス社とのさらなる提携により、世界中のFUS変異を伴うALS患者さんの治療に貢献できるよう尽力してまいります」と述べています。

なお、大塚製薬がアイオニス社から欧州および日本を含むアジア地域での開発・販売権を得た薬剤として、ウレフネルセンは遺伝性血管性浮腫発作抑制薬「ドニダロルセン」に続いて2品目です。

出典
大塚製薬株式会社 プレスリリース

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