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急性肝性ポルフィリン症の迅速スクリーニングキットの無償提供を開始、悪化の要因となる薬剤の回避を可能に

Alnylam Japan(アルナイラム)株式会社は2月20日、原因不明の腹痛を繰り返す患者さんを対象とする急性肝性ポルフィリン症(AHP)の迅速スクリーニングキット「尿PBG迅速スクリーニングキット、研究用試薬、医薬用外劇物」を無償にて提供を開始したと発表しました。

急性肝性ポルフィリン症(AHP)は、10代後半から30代の女性に発症することが多く、急に起こる激しい腹痛発作に加え、四肢痛、背部痛、下痢、嘔吐、便秘、錯乱、痙攣などの症状を特徴とする遺伝性の希少疾患です。これらの症状は、一部の薬剤により悪化する恐れがあるため、急性肝性ポルフィリン症(AHP)が疑われる場合には、薬剤選択を慎重に行う必要があります。しかしながら、一般的な血液検査や画像検査では診断することが難しく、尿中のδ-アミノレブリン酸(ALA)、ポルフォビリノーゲン(PBG)を測定して診断がおこなわれますが、結果が出るまで約10日を要するため、速やかな判断が難しいという課題があります。

尿PBG迅速スクリーニングキットは、採取した新鮮尿を試薬と同等量、約20滴加えて攪拌し、試薬の色の赤みが増していたら陽性と判断されます。急性肝性ポルフィリン症(AHP)を疑う症状がある場合、速やかにスクリーニングを行い、陽性となった場合には発作を悪化させる薬剤の投与を回避することが可能となります。

アルナイラムの代表取締役社長である岡田裕氏は「AHPは激しい急性の腹痛を主な症状とする希少疾患です。腹痛は多くの疾患で見られる症状であることから、AHPが見逃されること、他の疾患として診断されていることが多く、確定診断に至るまで平均15年を要すると報告されるなど、鑑別診断の難しさが課題となっています。かつてはAHPの治療方法は限られていましたが、2021年に初めての治療薬であるギブラーリが発売されました。この治療薬は急性発作の頻度を減らし、患者さんの生活の質を向上させることが期待されています。今回の迅速スクリーニングキットの導入が、原因不明の腹痛に苦しむ多くの患者さんの中に潜んでいる可能性があるAHPの確定診断につながるきっかけとなることを期待しています。私たちアルナイラムは誰もが不可能だ、非現実的だという既成概念に果敢にチャレンジし、治療の選択肢が限られている疾患でお困りの患者さんに貢献できるよう取り組んで参ります」と述べています。

出典
Alnylam Japan 株式会社 プレスリリース

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