1. HOME
  2. 難病・希少疾患ニュース
  3. がんやALSの新たな治療標的候補の機能を初めて解明

がんやALSの新たな治療標的候補の機能を初めて解明

近畿大学薬学部の研究グループは、熱ストレスなどに曝された際に細胞内に形成される「ストレス顆粒」について、多くのがん細胞内で働く増殖シグナルを抑制する機能を持つことを世界で初めて発見しました。ストレス顆粒は筋萎縮性側索硬化症(ALS)にも関与している事が知られており、ALSに対する新たな治療法の開発にも繋がると期待されています。

がん細胞ではプロテインキナーゼC(PKC)やMAPKキナーゼ(MAPK)といった酵素が活発に働くことが知られています。研究グループは細胞内のPKCを緑色蛍光タンパク質(GFP)で標識し可視化しました。観察の結果、熱刺激によってMAPKが活性化し、その後PKCが細胞質内のストレス顆粒に取り込まれることが示されました。また、MAPKの活性化はPKCのストレス顆粒への取り込みを促進していました。この結果は、ストレス顆粒が活性化PKCを取り込むことでMAPKの活性化に対し抑制的に働くことを示唆しています。

ストレス顆粒は熱ショックやウイルスの感染などに細胞の中に生じる構造です。ミトコンドリアなどの細胞小器官とは異なり膜構造を持ちません。がん細胞だけでなく、筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの神経難病でもストレス顆粒が過剰に生産されることが知られており、ストレス顆粒の適切なコントロールがこれらの疾患の治療に繋がると期待されています。

出典元
近畿大学 NEWSCAST

関連記事