バイオジェン、神経変性疾患を対象とした治療薬候補のパイプラインを拡充
米バイオジェン社とデナリ・セラピューティクス・インクは、パーキンソン病(指定難病6)の治療薬候補を製品化するために、両社が共同で研究開発する契約を締結したと発表しました。さらに、デナリ社の所有する2つの前臨床段階のプログラムを導入する独占的オプション権も取得しました。
パーキンソン病は脳内のドーパミン神経が不足することにより発症します。ドーパミン神経が減少することで体を自由に動かすのが難しくなり、手足のふるえや筋肉のこわばりなどの症状があらわれます。LRRK2という遺伝子に変異が起こると、パーキンソン病の発症に繋がることが知られています。LRRK2は細胞内で、不要なタンパク質を分解するリソソームの働きに関与しています。デナリ社のLRRK2阻害薬は、LRRK2を阻害することでリソソーム機能を回復し、パーキンソン病の進行を遅らせることが期待されます。
今回の契約により、米バイオジェン社はパーキンソン病を対象とするデナリ社のLRRK2阻害薬を共同で開発し市場化を目指します。バイオジェン社とデナリ社は米国および中国において、2021年には後期段階の臨床試験実施を目指しています。また、デナリ社は血液脳関門の透過性を高める輸送体の技術を有しており、バイオジェン社とデナリ社は共同で、パーキンソン病以外の神経変性疾患に対しても新たな治療薬開発に向けて開発が進められます。