低分子JAK阻害剤リンヴォック、既存治療で効果不十分な中等症から重症の潰瘍性大腸炎に対する承認を取得
アッヴィ合同会社は9月26日、低分子のヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤「リンヴォック(R)錠(一般名:ウパダシチニブ水和物、以下「リンヴォック」)」について、既存治療で効果不十分な中等症から重症の潰瘍性大腸炎の寛解導入、および維持療法の治療薬として適応追加の承認を取得したことを発表しました。
潰瘍性大腸炎(UC)は、大腸の粘膜にびらんや潰瘍ができる指定難病。主な症状として、慢性的な下痢、血便、腹痛に加え、発熱や貧血などの症状が現れ、寛解や再熱を繰り返します。潰瘍性大腸炎の原因は不明ですが、免疫の異常が関係しているといわれています。
潰瘍性大腸炎の治療では薬物治療による寛解を目指し、できるだけ長く再熱しない状態を保つことが重要です。しかし、長期にわたって治療が必要な患者さんや、薬物の継続投与によって起こり得る効果の減弱、過敏症反応などが起こる患者さんも多く存在します。さらに、重症患者さんの約30%で最終的に結腸全摘除術が必要となる場合もあります。
今回の承認は、中等症から重症の潰瘍性大腸炎の患者さんを対象とした、日本を含む複数の国際共同試験データから得られた結果に基づいたもの。これら複数の試験において、リンヴォックは、寛解導入療法試験では8週時、維持療法試験では52週時に主要評価項目である臨床的寛解(Adapted Mayoスコアに基づく)を達し、また臨床的改善や粘膜治癒を含むすべての副次評価項目も達しました。
なお、リンヴォックは1日1回経口投与の錠剤であることから、注射など従来の非経口投与の生物学的製剤で治療を行っている患者さんの負担軽減につながることが期待されます。