重症筋無力症治療の現状とガイドライン改訂の意義~アレクシオンファーマがメディアセミナーを開催~
アレクシオンファーマ合同会社は9月15日、メディアセミナーを開催。慶應義塾大学医学部神経内科准教授の鈴木重明先生と国際医療福祉大学医学部脳神経内科学主任教授で国際医療福祉大学成田病院脳神経内科部長の村井弘之先生が重症筋無力症の現状や2022年5月に改訂された重症筋無力症診療ガイドラインなどについて、講演を行いました。
重症筋無力症(MG)は、神経筋接合部における臓器特異的な自己免疫疾患です。あらゆる年代で発症し、最近では高齢の患者さんが増加しています。現在、日本国内に約35,000人の患者さんがいるといわれています。
鈴木先生は、重症筋無力症の基礎知識として、その発症機序や治療の変遷を紹介。重症筋無力症の治療の治療目標は、その症状や検査による異常値が消失した状態である「寛解」を目指すことです。しかし、完全寛解に至る患者さんは20%ほどであり、また難治性重症筋無力症となる患者さんも約20%いることから、鈴木先生は「治療は生涯にわたることを意識し、QOL(生活の質)やメンタルヘルスを良好に保つことが重要」と述べています。
次に、村井先生は2014年依頼8年ぶりに改訂された重症筋無力症の診療ガイドライン(重症筋無力症/ランバート・イートン筋無力症候群診療ガイドライン2022)について解説。改定の重要なポイントとして、以下の7つを示しました。
- ①MGの新しい分類を示した
- ②MGの診断基準を改訂
- ③漸増漸減の高用量経口ステロイドは推奨しないと明記
- ④難治性MGを定義
- ⑤分子標的薬(補体阻害薬)を追加
- ⑥ ランバート・イートン筋無力症候群 (LEMS)を初めて取り上げ、診断基準を示した
- ⑦MGとLEMSの治療アルゴリズムを示した
今回のガイドライン改訂によって、より簡潔に重症筋無力症の最新治療の基本がまとめられたと村井先生は語ります。一方、重症筋無力症は稀な疾患のため、診療に慣れていない医師が多いことから「疑問が生じたら重症筋無力症の専門医へ紹介をいとわないことも重要」と述べ、病病・病診連携の大切さを強調しました。