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発作性夜間ヘモグロビン尿症に対するクロバリマブ皮下投与の有効性と安全性データを発表

中外製薬株式会社は6月12日、新規抗C5リサイクリングモノクローナル抗体であるクロバリマブの発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)に対する有効性と安全性を、現在の標準治療のひとつであるエクリズマブと比較して評価する国際共同第III相臨床試験「COMMODORE1試験」、および「COMMODORE2試験」の良好なデータを欧州血液学会(EHA)にて発表したと公表しました。

発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)は、赤血球が血管内で自然免疫系の一部である補体系によって破壊され、貧血、疲労、血栓、腎疾患などの症状が生じる血液疾患です。既存のC5阻害剤は発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の治療に有効であることが示されています。中外製薬のリサイクリング抗体技術を用いて開発されたクロバリマブは、繰り返し抗原に結合するよう改変することで、低用量で持続的な補体阻害が可能となり、4週ごとの皮下投与が可能です。

COMMODORE2試験では、投与5週目~25週目までに溶血コントロールを達成した割合がクロバリマブ投与群で79.3%(95%信頼区間:69.7-86.0%)、エクリズマブ投与群で79.0%(95%信頼区間:69.7-86.0)を示しました。また、ベースラインから25週目までに輸血回避を達成した割合は、クロバリマブ群で65.7%(95%信頼区間:56.9-73.5)、エクリズマブ群では68.1%(95%信頼区間:55.7-78.5)でした。以上より、2つの主要評価項目に対するクロバリマブのエクリズマブに対する非劣勢が示されました。

さらに、既存のC5阻害剤からクロバリマブに切り替えた発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の患者さんを対象としたCOMMODORE1試験では、クロバリマブにより病勢コントロールが維持されたことが示されました。このことより、COMMODORE2試験で確認された良好なベネフィット・リスクプロファイルが支持されました。また、両試験において、在宅自己投与の実現可能性が示唆されました。

ロシュ社は、上記に加えて、COMMODORE Burden of Illness試験の予備データも発表しました。このデータより、既存のC5阻害剤による治療にも関わらず、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)患者さんにはQOL(生活の質)の低下や治療費の負担などの問題があることや新たな治療選択肢により、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)患者さんの負担を軽減できる可能性が期待できます。

代表取締役社長CEOの奥田修氏はプレスリリースにて「クロバリマブの4週に一回の皮下投与は、投与時間の短縮や在宅での自己注射など、PNH患者さんの治療負担の軽減に繋がることが期待されます」と述べるとともに、「新たな治療を待ち望む患者さんや介護者の皆さんに対して、一日でも早くクロバリマブによるベネフィットをお届けできるよう、本剤のグローバルでの承認申請に向けて引き続きロシュと協働してまいります」と語っています。

なお、欧州血液学会(EHA)は2023年6月8日~11日にドイツのフランクフルトにおいてハイブリット会議の形態で開催されました。

出典
中外製薬株式会社 プレスリリース

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