AIで網膜色素変性症(RP)の数年後の視力を予測する方法を開発
千葉大学は3月5日、進行すると失明に至る遺伝性の指定難病である網膜色素変性症(RP)について、眼底写真を用いた大規模深層学習モデルをベースに、診断および視力予後予測を行う方法を開発したと発表しました。
網膜色素変性症(指定難病90、RP)は、網膜の視細胞が徐々に障害されることで視機能が低下する疾患で、国内には推定3万人以上の患者さんが存在します。夜盲症や視野狭窄、視力低下などの症状を示し、最終的に失明に至る疾患ですが、進行速度や重症度には大きな個人差があります。
現在、確立された治療法はなく、発症後は残っている視機能を活かすロービジョンケアや対症療法などが行われており、視機能の低下に先立って開始することで高い効果が得られると考えられています。しかし、これまで患者さんの視力の中長期的な予後を知ることは困難でした。

今回、研究グループは、既存の深層学習モデルをベースに診断モデルを構築し、非常に高い精度で診断できることを示しました。さらに、千葉大学医学部附属病院で過去に収集されたデータを用いて視力予後予測モデルを構築し、眼底写真撮影後500日から1400日間に生じる視力低下を安定的に予測できることを明らかにしました。深層学習を用いた網膜色素変性症(RP)患者さんの視力予後予測モデルは、今回が初めてです。
また、AIが画像のどの領域に注目しているかを可視化し、診断時と予後予測時でAIが異なる網膜領域を参照していることを明らかにしました。AIの判断根拠を明示することでモデルの信頼性が向上するほか、視力低下に関連する病態メカニズムの解明に寄与することが期待されます。
今回のモデルは、早期に視力喪失が予想される患者さんへの迅速な治療介入につながり、新たな意思決定支援の基盤構築に寄与すると期待されています。今後は臨床応用に向けて、外部データセットおよび多施設データを用いた検証が進められます。
なお、同研究の成果は、国際科学誌「npj Digital Medicine」オンライン版に1月8日付で掲載されました。
