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身近なハーブ「セージ」の天然成分が腸のバリア機能を保護、炎症性腸疾患(IBD)の治療などに期待

東京工科大学は1月20日、ハーブの「セージ」に含まれる天然成分に、炎症によって低下した腸のバリア機能を修復する効果があることを見いだしたと発表しました。

腸には、外部からの異物が体内に侵入するのを防ぐ「腸管バリア機能」が備わっており、この機能が破綻することは炎症性腸疾患(IBD)などの発症に関わっています。このバリア機能は、腸の上皮細胞同士をつなぐ「タイトジャンクション」と呼ばれる構造によって維持されていますが、炎症性の物質によってその機能が損なわれやすいことが知られています。近年、タンパク質の一種である芳香族炭化水素受容体(AhR)が活性化すると、腸の炎症が抑制され、バリア機能が保たれることが分かってきています。AhRは体内でスイッチのように働き、特定の成分を受け取ることで細胞の機能を調整する役割を持っています。これまで、体内で作られる物質がAhRを活性化することは報告されていましたが、食品や植物由来の成分が同様の働きを持つかについては十分に解明されていませんでした。

今回、研究グループは、セージに含まれる成分に着目して検証を行いました。その結果、セージ由来の2種類の「ジテルペノイド」と呼ばれる成分が、腸の細胞同士の結びつきの強さを示す指標である経上皮電気抵抗(TEER)を有意に上昇させ、バリア機能を守る働きを持つことが判明しました。これらの成分は、炎症性物質によって弱まったバリア機能を回復させるとともに、細胞同士をつなぐタイトジャンクションの構造を維持する働きも示しました。

画像はリリースより
画像はリリースより

さらに詳細な仕組みを調べたところ、これらの成分がAhRという受容体を介して作用し、炎症を促進するシグナルを抑えることで、バリア機能を低下させる酵素の過剰な働きを抑制していることが明らかになりました。

以上の研究成果より、身近な植物に含まれる成分が腸の健康維持に役立つ新たな可能性が示されました。将来的には、炎症性腸疾患の新しい治療法や予防法の開発につながることが期待されます。

なお、同研究の成果は、学術誌「Phytomedicine Plus」オンライン版に2025年12月3日付で掲載されました。

出典
東京工科大学 プレスリリース

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