軟骨無形成症を対象とした経口薬KK8398の国内第3相臨床AOBA試験を開始
協和キリン株式会社は11月21日、開発中のFGFR1-3経口阻害薬KK8398(infigratinib)を用いた、軟骨無形成症の患者さんを対象とした国内第3相臨床試験「AOBA試験」で、最初の患者さんへの投与を実施し、試験を正式に開始したと発表しました。
軟骨無形成症(指定難病276)は、低身長を示す代表的な遺伝性疾患であり、およそ2万出生に1人の割合で発症するとされています。日本国内ではおよそ6,000人が罹患していると推定されています。低身長だけでなく、大後頭孔狭窄や脊柱管狭窄症、閉塞性睡眠時無呼吸など、多様な身体的・社会的課題を伴い、その影響は生涯にわたり続きます。軟骨無形成症の原因として、97%以上の症例でFGFR3の活性化変異が認められており、これは現在知られている唯一の遺伝子変異です。
KK8398(infigratinib)は、FGFR1-3を選択的に阻害する低分子経口薬です。現在BridgeBio Pharma社により軟骨無形成症患者を対象とした国際共同第3相臨床試験が実施されています。
AOBA試験は、日本国内の患者さんを対象とし、有効性および安全性を評価する多施設共同、非盲検、単群での臨床試験です。対象は3歳以上18歳未満の約6例が予定されており、52週間にわたって投与・観察が行われます。主要評価項目は、年間身長成長速度であり、副次評価項目として成長および体型のパラメータ、生活の質(QOL)、安全性指標などが評価されます。
協和キリンの取締役副社長Chief Medical Officerの山下武美氏はプレスリリースにて、「患者さんにLife-changingな価値をお届けすることを使命としています。このたび、軟骨無形成症を対象としたKK8398(infigratinib)の国内第3相臨床試験『AOBA試験』を開始いたします。軟骨無形成症は低身長だけでなく、多様な身体的・社会的課題を伴う指定難病であり、その影響は生涯にわたり続きます。本試験を通じ、安全性および有効性の科学的根拠を確立し、本邦の患者さんの生活の質を向上させる新たな治療選択肢をすこしでも早くご提供できるように取り組んでまいります」と述べています。
