栄養障害型表皮水疱症の塗布型遺伝子治療薬バイジュベックゲルが発売
Krystal Biotech Japan株式会社は10月22日、遺伝子治療用製品「バイジュベックゲル(一般名:ベレマゲン ゲペルパベク)」について、10月22日付で薬価基準に収載され、発売を開始したと発表しました。
表皮水疱症(指定難病36)の一種である栄養障害型表皮水疱症は、COL7A1遺伝子の変異によって引き起こされ、皮膚が非常にもろくなるため、わずかな摩擦や外圧で水疱や裂傷が生じることが特徴です。創傷の形成は、皮膚感染症や線維化を引き起こす原因となり、重篤な場合には、指や足の指の癒着や、悪性度の高い有棘細胞癌がんの発症リスクの増加につながることもあります。
バイジュベックゲルは、日本で初めて承認された遺伝性の希少皮膚疾患である栄養障害型表皮水疱症(DEB)に対する再投与が可能な塗布型の遺伝子治療用製品。同剤は、非増殖性の組換え単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)を成分とし、ヒトCOL7A1遺伝子の機能的なコピーを投与することで、傷の治癒と機能的なVII型コラーゲンタンパク質の発現を実現するように設計されています。これにより、アンカリングフィブリルが形成され、表皮と真皮が繋ぎ止められることで、創傷を治癒する効果が期待されています。
用法及び用量は、通常、週1回、本品の液滴を約1cm×1cmの格子状になるように皮膚創傷部に滴下塗布します。また、患者会や学会の強い要望を受け、医療施設だけでなく、自宅での投与が可能となり、条件を満たした場合に患者さんまたはその家族による在宅投与も適用できることとなりました。ただし、同剤はカルタヘナ法(遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律)により、適切に取り扱うことが規定されており、処方や調剤、在宅投与にあたっては定められた使用規定を遵守する必要があります。
Krystal Biotech Japanの笠本浩代表取締役社長はプレスリリースにて、「日本における栄養障害型表皮水疱症の患者さんは、これまでこの疾患に対して有効な根本治療を受けられずに苦しんでいました。本日、再投与可能な遺伝子治療用製品としてバイジュベック ゲルが薬価収載され、栄養障害型表皮水疱症の新しい治療選択肢としてお届けできることを大変嬉しく思います」と述べています。
