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多発性硬化症治療薬タイサブリの再審査が完了

バイオジェン・ジャパン株式会社は7月4日、多発性硬化症治療薬であるナタリズマブ(製品名:タイサブリ点滴静注300mg)について、厚生労働省から再審査結果通知を受け、医薬品としての品質、有効性、安全性が適切に確保されていることが確認されたと発表しました。

多発性硬化症(指定難病13)は、深刻な慢性進行性神経疾患であり、認知機能、心理社会的機能、及び身体機能の全てに影響を及ぼす疾患です。中枢神経系における炎症、ミエリン破壊、オリゴデンドロサイトの細胞死、軸索損傷、及びその後の神経細胞の喪失を特徴とする自己免疫疾患とされています。

タイサブリは疾患修飾薬(DMT)のひとつで、α4-インテグリンと選択的に結合するモノクローナル抗体の一種です。2014年6月に「多発性硬化症の再発予防及び身体的障害の進行抑制」を効能・効果として承認されました。その際、承認条件として「製造販売後、一定数の症例にかかるデータが集積されるまでの間は、全症例を対象とした使用成績調査を実施すること」と、「本剤の投与が、多発性硬化症の診断、治療に精通し、進行性多巣性白質脳症を含む本剤のリスク等についても十分に管理できる医師・医療機関のもとでのみ行われること」の2つが付記されていました。

今回の再審査の結果、前者の全症例調査は適切に実施されたと判断され、これに伴い全例調査に対する承認条件は解除されました。後者の、特定の医師・医療機関のもとでの投与に関する承認条件は、同剤の適正使用のため、再審査終了後も継続されます。今回の再審査結果により、タイサブリの「効能又は効果」や「用法及び用量」に変更はありません。

全症例調査は、2014年6月から2022年8月の間に実施され、国内154施設から安全性解析対象症例681例、有効性解析対象症例639例のデータが収集されました。再審査期間中に収集した副作用のうち、添付文書の「使用上の注意」から予測できない重篤な副作用は128例154件報告されましたが、感染症の報告はなく、現時点で「使用上の注意」への追記等の新たな安全対策は不要と判断されています。

出典
バイオジェン・ジャパン株式会社 プレスリリース

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