皮下注用人免疫グロブリン製剤ハイキュービア、無又は低ガンマグロブリン血症を効能又は効果として発売
武田薬品工業株式会社は6月12日、皮下注用人免疫グロブリン製剤およびボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)製剤から構成される組み合せ製剤「ハイキュービア10%皮下注セット(以下ハイキュービア)」について、「無又は低ガンマグロブリン血症」を効能又は効果として、発売したと発表しました。
無ガンマグロブリン血症は、遺伝子変異によりBリンパ球と呼ばれる免疫細胞が正常に成熟・増殖されず、抗体が産生されないために生じる遺伝性疾患です。低ガンマグロブリン血症は、遺伝子変異により抗体が欠乏して発症する場合、原発性免疫不全症(PID)に含まれ、化学療法、特定の併存疾患、免疫抑制剤の使用などの二次的影響によって抗体が欠乏して発症する場合は、続発性免疫不全症(SID)に含まれます。
ハイキュービアは、皮下注用人免疫グロブリン10%製剤1バイアルとボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)製剤1バイアルを組み合わせた皮下注用免疫グロブリン製剤です。従来の皮下投与型製剤は1週から2週に一度の投与が必要でしたが、ハイキュービアでは、ヒト免疫グロブリンの投与前に遺伝子組み換え型ボルヒアルロニダーゼ アルファを投与することにより、皮下へのより多量の投与が可能になります。これにより、投与頻度が3週または4週間隔となり、患者さんへの貢献が見込まれています。
ハイキュービアの承認は、日本人原発性免疫不全症患者を対象とした2つの第3相臨床試験と、北米の原発性免疫不全症患者を対象とした2つの海外第3相臨床試験の結果に基づいたものです。また、2024年2月14日に厚生労働省に製造販売承認申請を行い、2024年12月27日に製造販売承認を取得しました。現在、「慢性炎症性脱髄性多発根神経炎及び多巣性運動ニューロパチーの運動機能低下の進行抑制(筋力低下の改善が認められた場合)」の適応追加に係る製造販売承認事項一部変更承認申請のも審査中です。
武田薬品のジャパン ファーマビジネス ユニット第二事業部ヘッド大山尚貢氏はプレスリリースにて、「世界45カ国以上で承認されているハイキュービアを日本の患者さんにお届けできることを嬉しく思います。現在日本で承認されている無又は低ガンマグロブリン血症患者さんのための皮下投与製剤は週1回または2週間に1回の投与が必要です。投与頻度が従来の皮下投与製剤より少ない3週または4週間隔の皮下注用免疫グロブリン製剤を治療選択肢として提供することを通じて、患者さんに貢献できるよう尽力してまいります」と述べています。