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【欧州】リンヴォック、巨細胞性動脈炎(GCA)の成人患者さんの治療薬として製造販売承認を取得

米アッヴィ社は4月8日、リンヴォック(ウパダシチニブ、15mg、1日1回投与)について、巨細胞性動脈炎(GCA)の成人患者さんの治療薬として、欧州委員会(EC)より製造販売承認を取得したと発表しました。

巨細胞性動脈炎(指定難病41、GCA)は、側頭動脈などの頭部の動脈や、大動脈などの大型の動脈に炎症が生じる自己免疫疾患です。一般的に50歳以上で発症し、患者さんは頭痛、顎痛、視力変化や消失(突発的かつ永久的な視力消失を含む)を引き起こす可能性があります。男性より女性の方が発症する可能性が高いものの、研究によると眼症状が生じる可能性は男性の方が高いことが示されています。

今回の承認は、第III相SELECT-GCA試験のデータに基づいたものです。この試験は、巨細胞性動脈炎(GCA)患者さん428名を対象に、リンヴォックの安全性と有効性を評価するために設計された多施設共同、無作為化、二重盲検、プラセボ対照試験です。同試験では、リンヴォック15mgと26 週間のステロイド漸減投与の併用は、プラセボと 52 週間のステロイド漸減投与の併用と比較して、主要評価項目と主な副次的評価項目が達成されています 。

安全性に関して、52週間のプラセボ対照期間において、リンヴォック15mg群の安全性プロファイルは、既に承認されている適応症で認められたものと概おおむね一致していました。重篤な有害事象が発現した割合は、リンヴォック15mg群とプラセボ群で同程度でした。重篤な感染症が発現した割合は、リンヴォック15mg群で5.7%、プラセボ群で10.7%でした。悪性腫瘍(非黒色腫皮膚がんを除く)および静脈血栓塞栓症の発現割合は両群間で同程度でした。主要心血管イベント(MACE)と判断された事象はプラセボ群で2件認められましたが、リンヴォック15mg群では認められませんでした。治験薬投与下で発現した死亡は4件報告され、うち2件がリンヴォック15mg群でした(1件はCOVID-19、1件は原因不明)。

ドイツ・ベルリンのヴァルトフリーデ病院リウマチ科( Waldfriede Hospital, Department of Rheumatology)の教授であり、SELECT-GCA試験の治験責任医師であるWolfgang Schmidt氏はプレスリリースにて、「GCAは、患者さんをしばしば消耗させ、困難を伴う疾患です。GCAの患者さんは頭痛や顎痛、筋肉痛に苦しんでいることがあり、多くの患者さんで突発的かつ永久的な視力喪失を引き起こす可能性があります。SELECT-GCA試験の結果は、患者さんがリンヴォックにより寛解維持を達成し、ステロイドの累積使用量を減らせることを示しています。これはGCA患者さんの治療における重要な目標の達成に寄与することを表しています」と述べています。

また、アッヴィ社のexecutive vice president, research & development兼chief scientific officerであるRoopal Thakkar氏は、「リンヴォックがGCAの治療薬としてECから承認されたことにより、高齢で併存疾患が多くみられるリスクの高いGCAの患者さんに新たな治療選択肢がもたらされ、初めての経口の先進治療が提供されます。この重要な成果は、寛解維持を含め、患者さんのより良い転帰の達成に役立つよう、アンメットニーズの高い領域における継続的な研究と適応拡大を目指す私たちの取組みの姿勢を示すものです」と述べています。

出典
アッヴィ合同会社 プレスリリース

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