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トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー(TTR-FAP)の新薬に寄せられる期待とは~Alnylam Japanがメディアセミナーを開催~

Alnylam Japan(アルナイラム ジャパン)株式会社は11月2日、トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー(TTR-FAP)に関するメディアセミナーを開催。信州大学医学部内科学第三教室(脳神経内科、リウマチ・膠原病内科)教授、同大医学部附属病院副病院長(兼任)の関島良樹先生が講演を行いました。

トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー(TTR-FAP)は、体内にアミロイドと呼ばれるタンパク質が貯まることで、多発ニューロパチー、自律神経障害、心アミロイドーシス、眼アミロイドーシスなどの症状が現れる遺伝性の疾患です。

TTR-FAPの診断には、手足の痺れ、痛み、脱力、立ち眩みなどの臨床症状の存在と、アミロイド沈着の証明、TTR遺伝子変異の証明が必要です。現在、日本国内には推定約500名の患者さんがいますが、未診断例が多数存在していると考えられているため、潜在的には1000名以上いるといわれています。

肝移植により生存期間は向上も…

TTR-FAPの原因は、トランスサイレチン(TTR)と呼ばれるタンパク質の遺伝子の変異です。TTRのほとんどは肝臓で作られるため、肝移植を行うことで変異TTRが消え、アミロイドが沈着しなくなります。TTR-FAPに対する世界初の肝移植は1990年に成功。国内第一例目の肝移植は、信州大学が1993年に実施し、成功したそうです。

関島良樹先生(提供写真)

関島良樹先生は、「TTR-FAPは治らない病気だと思っていましたが、肝移植して10年経つとお腹の脂肪からアミロイドがほぼ消えます」と述べています。

しかし、肝移植には、ドナー不足、移植後の免疫抑制療法や移植に関連する合併症などの問題点もあり、肝移植に代わる新たな治療法・予防法の開発が求められていました。

患者負担が少なく有効性の高いTTR-FAP治療の実現へ

そして2013年には、待望のTTR-FAP治療薬が日本国内で承認。その後、2019年にはTTR-FAPに対する初のRNAi治療薬「オンパットロ(一般名:パチシラン)」が発売されました。しかし、オンパットの投与後には、熱や頭痛などの副反応があり、また3週間ごとに治療が必要であることから、患者さんの負担が少なくなかったといいます。

これらの負担を踏まえて、第2世代のsiRNA治療薬「アムヴトラ(一般名:ブトリシラン)」が開発されました。アムヴトラは、投与関連反応が少なく、3カ月に1回の皮下投与であることから、患者さんの負担が軽減されるそうです。

肝移植は過去となり、薬物療法がファーストラインとなりつつあるTTR-FAP。関島先生は「患者さんの負担が少なく有効性の高いTTR-FAP治療が実現できる」と期待を寄せました。

参考
Alnylam Japan株式会社 プレスリリース

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