1. HOME
  2. 難病・希少疾患ニュース
  3. 巨細胞性動脈炎(GCA)に対するウパダシチニブ、第III相試験で良好な結果を示す

巨細胞性動脈炎(GCA)に対するウパダシチニブ、第III相試験で良好な結果を示す

米アッヴィ社は5月22日、SELECT-GCA試験(第III相、多施設共同、無作為化、二重盲検、プラセボ対照試験)で得られた良好なトップライン結果を発表しました。

巨細胞性動脈炎(指定難病41)は、側頭動脈などの頭部の動脈、大動脈およびその他の大型・中型の動脈に炎症を引き起こす自己免疫疾患です。50歳以上で発症する場合が多く、70~80歳の高齢者に最も多くみられます。男性よりも女性が発症する場合が多く、本疾患により頭痛、顎痛および視力の変化や消失(突発性かつ永久的な視力消失を含む)を引き起こす可能性があります。

今回の試験では、成人巨細胞性動脈炎(GCA)患者さんを対象に、1日1回ウパダシチニブ15mgの投与と26週間のステロイド漸減投与の併用と、プラセボの投与と52週間のステロイド漸減投与の併用を比較しました。

その結果、1日1回ウパダシチニブ15mgの投与と26週間のステロイド漸減投与の併用した患者さんでは、主要評価項目である12週時から52週時までの期間の寛解維持を達成したことが示されました。寛解維持を達成した患者さんの割合は、ウパダシチニブ15mgと26週間のステロイド漸減投与を併用した患者さんでは46%であったのに対し、プラセボの投与と52週間のステロイド漸減投与を併用した患者さんでは29%でした。投与52週時までの期間に1回以上の再燃が認められた患者さんの割合は、プラセボ群と比較してウパダシチニブ15mg群の方が低いことが示されました。

また、今回の試験結果から、ウパダシチニブ7.5mgは主要評価項目もいずれの副次評価項目も到達していないことが認められました。

52週間のプラセボ対照期間において、ウパダシチニブ15mgの安全性プロファイルは、既に承認されている適応症で認められたものと概ね一致していました。今回の試験では、ウパダシチニブ15mgの忍容性は総じて良好であり、新たな安全性シグナルは認められませんでした。

有害事象により投与中止となった患者さんの割合は、ウパダシチニブ 15 mg 群では 15%、プラセボ群では21%でした。重篤な有害事象が認められた患者さんの割合は、ウパダシチニブ15mg群23%、プラセボ群21%であり、同等の結果でした。重篤な感染症が発現した割合は、ウパダシチニブ15mg群で6%、プラセボ群で11%でした。全体として、悪性腫瘍(非黒色腫皮膚がんを除く)が発生した患者さんおよび静脈血栓塞栓症と診断された患者さんの割合は、ウパダシチニブ15mg群(それぞれ2%および3%)とプラセボ群(それぞれ2%および4%)でした。主要心血管イベント(MACE)と判断された事象が、プラセボ群では2件認められたのに対し、ウパダシチニブ15mg群では認められませんでした。治験薬投与下で発現した死亡は4件報告され、2件がプラセボ群、2件がウパダシチニブ15mg群でした。ウパダシチニブ15mg群の治験薬投与下で発現した死亡2件のうち、1件はCOVID-19によるものであり、もう1件は原因不明と判断されました。

アッヴィのvice president 兼 global head of immunology clinical development である Kori Wallace,M.D.,Ph.D.はプレスリリースにて、「多くのGCA患者さんは、治療選択肢が限られている中、消耗性を引き起こす可能性がある症状に苦しみ続けています。今回の結果は、未だ大きなメディカルニーズがある疾患の新たな治療法を開発することにより、免疫介在性疾患の患者さんの生活改善を目指すという、当社の絶え間ない取り組みを示すものです」と述べています。

なお、今回のSELECT-GCA試験のすべての投与群における詳細な結果については、今後の医学学会での発表を予定しているそうです。また、巨細胞性動脈炎(GCA)に対するウパダシチニブの使用は承認されておらず、その安全性および有効性はこれまで規制当局により評価されていません。

出典
アッヴィ合同会社 プレスリリース

関連記事