縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチー治療剤アセノベルが発売
ノーベルファーマ株式会社は11月25日、縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチー治療剤「アセノベル徐放錠500m(一般名:アセノイラミン酸)」を12月19日(木)に発売すると発表しました。
遠位型ミオパチー(指定難病30)の一種である縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチーは、体幹から離れた部位の筋肉から萎縮・変性していく疾患です。現在、日本には約400人の患者さんがいると言われています。
縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチーの患者さんは、アセノイラミン酸(N-アセチルノ イラミン酸、代表的なシアル酸)の合成が生体内で十分にできないため、筋肉のシアル酸の量が少ないことや、いくつかのタンパク質のシアル酸含量が低下していることも報告されています。また、動物実験(マウス)において、発症しないうちからアセノイラミン酸を与え続けると運動能力、骨格筋の収縮力、血液検査の値、筋病理像などが正常マウスと同じように推移することが明らかになり、この病気の患者さんにおいてアセノイラミン酸の摂取が病態の改善ないし進行抑制に期待できることが判明しました。
アセノベルは、国立精神・神経医療研究センター(NCNP)および遠位型ミオパチー患者会(PADM)よりノーベルファーマ社に開発要請があり、東北大学大学院医学系研究科神経内科学分野教授 青木 正志先生を研究代表者、国立精神・神経医療研究センター神経研究所 疾病研究第一部部長 西野 一三先生を医学専門家として医師主導国内第II/III相試験および国内長期投与試験などがNEDO、JST、文部科学省、厚生労働省、AMEDの事業として、および有効性確認試験が国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所の支援により実施されました。
ノーベルファーマはプレスリリースにて、「この疾患の根本的な治療法はこれまでになく、対症療法として主に拘縮を防ぐ目的でのリハビリが行われてきましたが、本剤の発売により、当社が少しでも縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチー治療のお役に立てることを嬉しく思います」と述べています。