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圧測定カテーテルとバルーン肺動脈拡張術を併用する慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)の新規治療法を開発

東北大学の研究グループは10月31日、圧測定カテーテルにより肺動脈内の血栓による狭窄部位の狭窄度を圧較差により数値化し、肺動脈バルーン形成術の治療効果を客観的に判定する、新たな治療法の開発に成功したと発表しました。

慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH、指定難病88)は、肺動脈内に生じた血栓により血流が障害される疾患です。現在の治療法として、低侵襲のカテーテル治療である、病変部を風船(バルーン)で膨らませるバルーン肺動脈拡張術が普及してきました。肺動脈病変に対するバルーンによる拡張の際に、どの場所をどの程度膨らませばよいかを判断する指標が、血管を造影剤で映した際の流れやすさという視覚的な判断によって行われてきました。ただしこの方法では、治療後も肺高血圧症と息切れなどの症状が残るなどの課題があり、治療効果をより客観的に評価する検査法が求められてきました。

今回、研究グループは、圧測定カテーテルを用いて、肺動脈の狭窄部位より近位部の圧に対する遠位側の圧力の比率を評価項目とし、肺動脈バルーン形成術の治療効果を客観的に判定しました。この比率が高いほど圧較差が少ない、つまり血流が改善されているということになります。この比率が0.7を越えて改善すると、周囲の肺実質に十分な血流が流れることがわかりました。

画像はリリースより

以上の結果を踏まえて、研究グループは、各病変で圧較差が0.7以上に改善するまでバルーン拡張を行う新規の治療方法を検討。2020年8月から2022年3月までに東北大学病院でバルーン肺動脈拡張術を行った症例を、従来の血管撮影による評価を行った群(63人)と圧測定カテーテルを使用して評価を行った群(28人)に分けて解析しました。その結果、従来法(血管撮影)群ではバルーン治療後に平均肺動脈圧が25mmHgを下回る症例が60%であった一方、圧測定カテーテル使用群では、その割合が93%に向上するとともに(p=0.001)、合併症の頻度も4.2%に減少しました。

画像はリリースより

以上の研究成果より、圧測定カテーテルを使用した新しい治療戦略が、今後の慢性血栓塞栓性肺高血圧症治療においてさらなる進展をもたらすことが期待されるといいます。

なお、同研究の成果は、「JACC Cardiovascular Interventions」に10月28日付で掲載されました。

出典
東北大学 プレスリリース

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