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縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチー治療薬アセノベル徐放錠、長期投与の安全性と有効性を確認

東北大学病院は6月10日、GNEミオパチーを対象としたウルトラオーファンドラッグであるアセノベル徐放錠500mgの治療効果を明らかにしたと発表しました。

遠位型ミオパチー(指定難病30)の一種であるGNEミオパチーは、体幹から離れた部位から筋肉が萎縮、変性し次第に体の自由が奪われていく有効な治療法のない希少疾患です。日本国内において、患者数は400名程度と推定されており、その多くが10代後半から30代にかけて発症しています。

1980年代に、GNEミオパチーの臨床病型が報告され、2001年に、その原因遺伝子GNEから合成される蛋白がシアル酸代謝に関わる酵素であることが見い出されました。国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センターは、モデルマウスを用いて、シアル酸補充療法の予防効果を示しました。

これを受けて、2010~2011年に、東北大学の研究グループは、世界で初めて医師主導治験として第 I相試験を実施し、その後、医師主導第I相試験(追加)を行い、シアル酸の一種であるアセノイラミン酸のファースト・イン・ヒューマンの検討を通して、安全性を確立しました。

さらに医師主導第II/III相試験、ノーベルファーマ株式会社が治験依頼者となる有効性確認試験を実施。GNEミオパチーにおけるアセノイラミン酸の効果を明らかにしました。第II/III相試験のアセノベル投与群では、上肢筋力合計点数の低下を長期間にわたり軽減することが明らかとなりました。これらの結果に基づき、アセノベル徐放錠は、2024年3月26日に製造販売承認を取得しました。

画像はリリースより

今回、研究グループは、医師主導第II/III相試験48週の二重盲検期を終えた19例のGNEミオパチー患者さんに対して、72週間にわたってアセノベル徐放錠を継続投与し、安全性と有効性を確認。GNEミオパチー患者さんへのアセノベル徐放錠の長期投与の安全性が明らかになりました。

なお、同研究の成果は、国際科学誌「Journal of Neurology, Neurosurgery, and Psychiatry」オンライン版に6月5日付で掲載されました。

出典
東北大学 プレスリリース

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