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新生児線状IgA水疱性皮膚症の原因となるIgA抗体、母乳を介して患児に移行

慶應義塾大学は8月13日、新生児線状IgA水疱性皮膚症を引き起こす原因物質であるIgA抗体が母親の母乳内に存在することを発見したと発表しました。

この研究成果は、同大医学部皮膚科学教室の天谷雅行教授ら研究グループによるもので、米国科学誌『JAMA Dermatology』オンライン速報版に7月14日付けで掲載されました。

新生児線状IgA水疱性皮膚症は、表皮と真皮の間の境界部に結合するIgA抗体を介し、水疱・びらんを引き起こす稀な疾患。皮膚症状のみならず粘膜気道にも病変がよくみられ、致死的な病態を引き起こします。

新生児の自己免疫性皮膚疾患では、母体の血液中にある病原性抗体(自己抗体)が胎盤を介して胎児に移行し、病気を引き起こすことが多いのですが、線状IgA水疱性皮膚症では過去の報告でも母体の血液中に病原性抗体が存在せず、その由来が不明だったそうです。

今回の研究では、患児の母親の母乳の中に表皮真皮境界部に結合するIgA抗体が存在することを証明。また、患児皮膚に沈着しているIgA抗体が、血液中にある血清型ではなく、母乳内に存在する分泌型であることが明らかになり、母乳を介して患児にIgA抗体が移行していることが証明されました。

今回の研成果について、研究グループはプレスリリースにて、「病原性IgA抗体が母乳由来であることがわかったことで、新生児線状IgA水疱性皮膚症では速やかに母乳栄養を中止することで患児の重症化を防げることが期待されます」と述べています。

出典元
慶応義塾大学 プレスリリース

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